願わくば一つの愛を…。
3
何処か隠れる場所…。
「おわっ!?」
「ッ!!っと、大丈夫?」
キョロキョロと、周りに隠れる場所はないかと一瞬目の前から視線をずらした時思いっきり誰かとぶつかった。
ぶつかった相手は反動で少しよろめいただけだったが俺は思いっきりだった為か後ろに倒れそうになったが相手の人が咄嗟に俺の腕を掴んでくれた為になんとか倒れずにすんだ。
「あ、あの…。ありがとうございました。大丈夫でした……か!?」
「!?、聖羅?」
「おい、何やってんだよ!!?」
お礼を言おうと頭を下げ、顔を上げた瞬間、俺は驚きで一瞬、声が出せなかった…。
相手の人もそれは同じなのか俺とバッチリと目が合った瞬間、固まってしまった。
その後ろから俺の見間違えじゃなければよく知る人物が俺と相手の人が突然動かなくなったのを不審に思ったのか顔を覗かせ俺の顔を見た瞬間、固まる青年…。
「柊兄!抄兄!!」
俺は思いがけない人物との再会に追われてたことなど忘れ飛びついた。
「お、おい!」
「本当に聖羅だ。」
驚く柊兄と反対にしっかと受け止めてくれる抄兄二人久しぶりに会ったのに変わらない。
二人は俺が幼い頃
本当のお兄ちゃんのように慕ってた昔馴染みの双子だ。
俺から見て右に居るのが…。
天城 柊(あまき しゅう)
明るい橙色のショート
切れ長の蒼い瞳
左目の下に泣き黒子があって
端正な顔立ちしていてカッコイイ。
背も俺よりスラッと高く
とにかく誰が見てもカッコイイとしか言いようがない。
その隣、つまり俺から見て左に居るのが双子の弟でもある。
天城 抄(あまき しょう)
一卵性の為、容姿も背丈もすべて一緒だが、抄兄の方は髪をピンクに染めている。
また、抄兄には黒子はない。
ちなみに性格も柊兄と抄兄は微妙に違うのを俺は知ってる。
柊兄は本当に自分が楽しければいい。
娯楽、快楽主義でわがまま、自己中だが…。
抄兄の方は一応、礼儀や常識もあり、愛嬌もある
まぁ、根本的なところは一緒で娯楽、快楽主義なんだけどね…。
中1の時に電話で話した程度で会うのは本当に何年ぶりだ。
何年ぶりに会った双子の兄弟は昔からカッコイイとは思ってたけどさらにかっこよく、背も一段と高くなってる。
それに顔の表情もどこか大人びた感じがする。
「本当に柊兄と抄兄だぁ〜〜。」
いい年になるのに校舎のド真ん中とまではいかなくが、男が男に抱き着くなんてシュールな絵は誰だって見たくないだろうが、そこは勘弁してほしい。
だって嬉しいだから仕方ない。
「久しぶりに会ったのに本当に変わんないな〜」
「本当に聖羅なのか?なんでここに?」
俺の頭を撫でてくれる抄兄と今だ驚きを隠せないらしい柊兄
柊兄の疑問に答えようとした時…。
「なに、普通に……無視し、てんだよ!」
「いい…度胸じゃねぇか…」
「…おい、二人共まずいって…」
まつとなっちゃんが息を荒くして怒鳴る一方
フジは顔面蒼白で二人を止めていた。
「「あ゙ぁ?、(なに?)あんた等、聖羅(この子)になんか用でもあんのか?(あんの?)」」
三人の不良さん達が現れた瞬間、急に双子の雰囲気がガラリと変わり、表情も先程、俺に見せてた表情と違い。
目つきが鋭くなり、声もだいぶ低い正直言ってかなり怖い
俺が怖いと思っているのだから、睨まれてる不良さん達はもっと怖いだろう。
その証拠に先程まで威勢がよかったのに今じゃ先程の威勢はどこへやら
なっちゃんだけは普通だがまつとフジはおどおどとしている。
「そこの奴、お前達の知り合いなのか?」
「お、おい…。」
なっちゃんが一歩前に進み俺のこと睨みつけながら柊兄と抄兄に言う
「へぇ〜。俺達のこと知ってて刃向かうってよっぽど聖羅を気に入った?」
「………。」
「無言は肯定と見るけどいい?」
なんだろう…。
なんか変な展開になってるんですけど……。
柊兄は完全に喧嘩する気満々だし、抄兄は表情こそそんな怒ってる感じに見えないけどなんでだろう…。
目が笑ってないんだよね……。
うん。
怖いよね…。
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