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「……にしてもお前が名前聞きそびれるなんてな」

「……うるせぇよ。」


そうあの後、あの子の名前を聞く前にアキに呼ばれた。
その時のアキの顔はものすごい顔してた。

あんなアキの顔はガキの頃以来だ。
けど、アキは何も言わずあとで来いだけ言って立ち去った。
こういう所がやっぱり、大人なんだと思う。
まぁ、そのあとは散々からかわれたが…


「……ということはあそこか?」

「?」


アキは独り言言うとある場合を見た。
そこは屋上…
なんでアキの方があの子を見つけるの早いんだ?


「…やっぱり、居た…あ…」

「あ?」

「いや、なんでもない。行くぞ」


アキは不自然過ぎるぐらい不自然に俺の肩を抱き寄せて行こうとした。
でも、俺は見てしまった。

あの子と他の男がじゃれ合ってる姿を…
その瞬間、自分でも分からないけど体温が下がっていくのが分かった。

やっぱり、あの子も一緒。

俺はあの子の何に期待したんだろう。
やっぱり、あの子も……


「……お前、今の顔相当ヤバイぞ」

「……何が?」

「今のお前の顔、他の子達が見たら泣くぞ」


アキは少し引き攣った笑みを浮かべてた。
そんなに今の俺の顔はヤバイのか?


「…気になるなら聞けばいいだろう?」

「…何を?」


その瞬間、わざとらしくため息を吐くアキ。
分かってる。分かっては居るけど…


「…相手を知りたいならまずちゃんとお互い知らなきゃダメだろ?
それにはまずお互い自己紹介をする。
そして、ちゃんと自分で相手のことを見て理解する。
何も分からない内に勝手に自己解決するのはお前の悪い癖だ。」

「……分かった。」

「よしよし。聞き分けがいいのは良いことだ。」


アキはそういうと乱暴に俺の頭を撫でた。
その瞬間、沸き上がる悲鳴。


「…ヤバッ忘れてた。」

「……マジでウザい」

「おーい。お前等がイチャイチャする度ギャラリーが鼻血出して倒れるからやめてくれないかー」

「……おいおい。イチャイチャって」


同じサッカー部の先輩の言葉にアキは顔を引き攣らせた。

そりゃそうだ。
なんでよりによってアキと俺がイチャイチャしなきゃならん


「……お前等まさか自覚ないのか?」

「バカだろ?」


同じくサッカー部の木村と真田に言われとりあえず、アキを蹴飛ばした。

アキは目立つことが嫌いな癖に無自覚で目立つことを平気でするから面倒なんだ。
それでよく俺の事を文句言えたものだ。

でも、確かに…アキの言う通りかもしれない。

相手を知りたいならまず自己紹介…か…
俺、そういえば初めてかもな
相手を知りたいなんて……






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あきゅろす。
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