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『…あの子』

『?…どうした?』

『いや、ほらあそこで少しうたた寝してる子。』


アキが指差した方向を見れば確かにグランドから離れた大きな木の所に人影は見えた。
でも、いまいち見えない。
こう言ったらなんだが…俺はわりと目が悪い。
アキは正反対に目がものすごく良いから見えるんだろうけど…。


『……見えない。』

『あーそっか。
お前、この距離は無理か』

『っで?何?』

『いや、あの子よっぽどお前のこと好きなんだなって…』

『?』

『毎日、見てるからさ』


毎日、見てるってストーカーかよ。


『どうせ。ミーハーだろ?』

『う〜ん。どうだろうなぁ
見た感じそんなミーハーには見えないけどな
それにミーハーならお前の近くに寄って話し掛けるなり、何かしらするだろ?
あの子しないんだよな。』


いや、尚更怖いって…


『ま、俺には関係ないけどな』


アキのその言葉がきっかけだった。
それまで気にも止めなかった。
アキに言われてから意識して周りを見るようにした。
確かにその子は居た。
他の奴等みたいに俺に近寄る訳でもなく
ただ、静かに俺を見てた。
普通なら男が男の俺を見てたら気色悪いし、無視するけど…
ここは男子校で同性愛が普通にある。
俺は酷い話体の関係なら沢山居る。
だから、不思議だった。


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あきゅろす。
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