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2
―屋上―


「で?」

「?」

「その後、どうしたんだ?」

「どうしたんたって…普通に見てたよ?」


その瞬間、隣に座ってた迅はガクッと項垂れて頭を抱えた。


「…梓。
それじゃ、前と何も変わってなくね?」

「変わったよ!」

「どこが?」

「普通、一般の子はあんな近くで見れないんだよ?
なのにあの日はたまたま空いてたのか…見せてくれたし…」


それに…あんな近くであんな朝比奈君を見れた。
これって幸せだと思う。

僕の名前は安田 梓【やすだ あずさ】
ここ南城高校に通う一年だ。
可もなく不可もなく。
顔はこれまた平凡で背も他の男子達に比べて低い。
加えて筋力もないからひょろひょろだ。

その隣で先程から呆れた顔してグランドを見てるのは黒羽 迅【くろば じん】。
迅は幼い頃から一緒で僕にとってお兄ちゃんの様な存在だ。

迅は僕と違って剣道やってるせいか程よく綺麗に筋肉がついてる。
いわいる細マッチョってやつだ。

ここ南城高校は全寮制男子校で周りは男の子しか居ない。
普通に生活していく中で何も問題はない。
ただ、唯一、あるとしたら…
同性愛が当たり前ということ
ここで生活してく中で自然とそういうことが当たり前となって誰も疑問に思わない。
中には嫌悪感を持つ人達も居るけど…

因みに僕も現在恋をしてる。
もちろん、相手は男だ。

サッカー部のエース。
朝比奈 輝【あさひな ひかる】
彼はこの学校ではアイドルの様な存在だ。
背がスラッと高く顔は羨ましいぐらい整ってて美形だ。
それでいて誰に対しても気さくでフレンドリーな性格してる。
そんなアイドルに僕は恋をしてる。

最初は屋上でただ何気なく見てた。
でも、朝比奈君のサッカーしてる姿を見て今まで感じたことがない感覚に襲われて…最近、これが恋だと知った。
迅が教えてくれなかったら多分、僕は気付かないままだった。
でも、僕は気付かないままでも良かったと思ってる。

どうしてかって?
だって…この恋は報われないから…


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