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小説
第二話
ー手に入れるさ・・・。
やっと見つけた俺の光なんだからなー

第二話
「シャマル様・・・」
本に向けていた視線をメイドに移す。
「お食事のご用意が整いました」
「そうか。今行く」
読みかけの本に詩織をはさむと、食堂に向かう。
席に着くといい匂いを漂わせた料理が並んでいた。
王の言葉で食事が始まる。
「お父様。今日、エリナ様からプレゼントを貰ったの」
「ん?何を頂いたんだ?」
普段、厳しそうな顔をしている王は娘に笑いかける。
「耳飾りよ。シーナ川の石の」
「シーナ川の石と言えば、豪華だな。一年で数百個しか取れないんだぞ」
「えぇ」
姉は耳に付ける。
「わー!お姉様綺麗!!」
皆が口々に姉のラダに言った。
「どう?シャマル」
「え?・・・あぁ、良いと思います」
いきなり、話をふられたので、危うくスープのスプーンを落としそうになる。
シャマルは、お茶会で会った男のことを考えていた。
ールアン・エルトリオ。
自ら主を選ぶ特殊な家系の者だ。
選ばれた主は、王になることも可能な力を手にできると言われている。
その一人と出会った。
一目で分かる。
他の者とは違う気品。
特有の黒髪黒目。整った顔。光を宿す瞳。
城の兵よりも硬い手。
彼は、シャマルの欲しい要素を持っていた。
だから、「何としても手に入れたい。」という欲望がシャマルの意識を取り去ったと、いうことだ。

シャマルの黄金の髪が、歩くたびに左右に揺れた。
部屋までの通路で兄と出会う。
「失礼」
「いや」
簡単な言葉で去ろうとした時、兄が話しかけてきた。
「竜の一族、いい目をしていたな」
「!!」
「俺も、あいつが欲しいな」
シャマルは後ろを振り返るが、もう兄の姿はなかった。

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