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「おめでとうなまえ」
「それでね、ルシウス先輩が抱きしめてくれたんだぁ!」
「うん、それもう三十回くらい聞いたかな」
ダンスパーティーが終わったのがほとんど朝に近い夜遅くだったのにも関わらず、あれから私は戻ってきたみんなを捕まえて延々とルシウス先輩と正式におつきあいすることになった旨を説明し、結局次の日は昼過ぎに目覚めた。みんなで来た昼食の席でも延々とまた同じ話を繰り返しているわけで、ジェームズはもうほとんど聞いていない。それでも嬉しくて嬉しくて指輪を見ては微笑んでしまう。きっと相当うざいに違いない。
「まあ、なまえが選んだ人だから文句は言わないけど…」
リリーは何度か溜め息をついているけど、三十一回目くらいになるであろう私の話をまだまじめに聞いてくれている。ずっとずっと憧れてた、ルシウス先輩の彼女。本当になれたんだなぁ、私。本物になれたんだ。
「なまえ、おはよう」
「あ、おはようございます、ルシウス先輩」
少し離れたところから声をかけられて顔が暑くなる。朝から、いや昼からかっこいいな先輩。彼氏になったら余計かっこよく見えるよ、どうしよう。照れて急に押し黙る私をジェームズがにやにやしながら見ている。後でシメようと思う。
「…おい」
「なんだ、ブラック」
「幸せにしろよ」
「言われずとも」
シリウスの言葉に冷たく返すルシウス先輩。でも私と話すときはもっと優しい声なんだよ!みんなにそう自慢したくなる。気のせいかもしれないけど、いやでもきっと気のせいじゃない!彼女なんだもん。
「今度の休みはどこへ行こうか?」
「ルシウス先輩の行きたいところへ!」
「そうか。ではなまえの実家へ。ご両親に挨拶しなくてはな」
「え、そ、それは」
ちょっと先輩、気が早いのでは…。言いづらくてでも嬉しいし、もじもじしている私に、冗談だと笑う。その笑顔にみんなが驚いているのが私にはわかった。だってルシウス先輩、普段グリフィンドールの人の前でそんな笑顔しないもん。スリザリンではしてるのかな、ちょっと嫉妬。次の休みの話を当たり前にしてくれるルシウス先輩がやっぱりもっと好きになった。
「あの、先輩…」
「なんだ」
「好きです…すっごく」
みんなの前で何を言い出すのかと思われそうだけど、それでも今伝えたくて。ルシウス先輩がどんな反応をしてくれるのかちょっと気になって、っていうところもあるけど。ちょっと驚いた顔をしたルシウス先輩はすぐに小さく笑う。
「私も好きだよ、なまえ」
「私のほうがもっと好きです」
「それはこれから覆るだろう」
聞いてるほうが恥ずかしいわ、と隣で小さくリリーが呟く。自信たっぷりにそう言い放つルシウス先輩はきっとこれからもずっと私の大好きな人。未だに片思いの感覚が抜けなくてすこし不思議な気持ちだけど、これからゆっくり恋人になっていこう。こうして私の初恋は成就したのでした。
end
(20110617)
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