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「今日は友達といないのか?」
「…ルシウス先輩…」

ここ数日はなぜこんなにルシウス先輩に会うのだろう。でも嫌じゃない自分もいる。昨日ルシウス先輩が何をしたのか知らないけれど、今日は上級生たちからの視線を感じる事もなく過ごしやすい一日だ。だから思ったより悪い人じゃないのかな、と少しルシウス先輩を信用する気になっている。

「大切な人が…いるのに…他にも大切な人が出来たら」
「あぁ」
「ルシウス先輩ならどうしますか?」
「難しい質問だな」

ルシウス先輩は私の隣に座った。こんな今は使われてない教室へ向かう一番上の階への階段の踊り場に先輩はなんの用事があって来たのだろうか、と思ったけど私と話に来たのかな…まさかね。

「何かあったのか?」
「うーん…私にはわかりません、恋した事ないんです」
「本当に?」
「恋するってどんな気持ちですか?」

隣にいるルシウス先輩と目があって、なんとなく反らし辛い。先輩のアイスブルーの瞳を独り占めしてるんだ、と思ったら胸が張り裂けそうに切なくなった。ドキドキとは違う、このすごく切ない気持ちに折り合いをつけきれない。

「恋をしているだろう?」
「…っえ?」
「私の自惚れでなければな」

ルシウス先輩の大きな、そして意外と骨ばった手が私の頬にするりと触れてそのまま人差し指で顎を軽くもちあげられた。ごく自然に近付いてくる少し傾けられたルシウス先輩の顔に、苦しくなって私は思わず立ち上がった。

「……」
「ご、ごめんなさい!」
「なまえ、」

なにか言いかけるルシウス先輩の言葉を後に、走って階段を駆け下りる。本当にドキドキで死んじゃうかと思った、爆発しそうなこの胸の痛みが恋なら、わたしはなんて人に恋をしてしまったんだろう。




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