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「で、なまえ、どっちか選んでくれたの?」
「あ、それねーなんかねールシウス先輩がねー」
夜の談話室でマシュマロを焼きながらぼーっとしているなまえに話し掛けると、嬉しそうにマルフォイの話をされた。前から思ってた事だけど、マルフォイはなまえに対して甘すぎる。なまえがそれを嫌がっていないところもまたリアルでなんだか嫌なんだよね。
「スリザリンに借り作ってごめんね」
「違う違う、僕が嫌なのはそんな事じゃないよ」
「じゃぁ何?」
「マルフォイがなまえにだけやたらと優しいのが嫌なのさ」
「ルシウス先輩が?」
優しくないよ、全然意地悪だよ、となまえは口を尖らせる。あの人は興味のないグリフィンドールの後輩にわざわざ貸しを作ったりも、普段から構いもしないだろう。その事をなまえだって本当は分かっている癖に、わからないふりをしている。それは僕も同じだけど。言うなら今しかないのだと、暖炉の炎を見つめながら決心を固めた。
「なまえ」
「うん、なぁに?」
「僕もなまえが好きなんだ」
「私もジェームズ好きだよー」
「愛してるんだよ」
時間が止まったかのように、暖炉のパチパチという燃える音だけが響いていた。なまえは一度口を開いたけど、言葉が出てこないみたいでまた閉じた。私も、なんて言葉は最初から期待してないから言えたけど、さ。
「ジェ、」
「うん」
「ジェームズ、リリーが好きって前に言ってたじゃん、それから私ずっと応援してたのに…」
「そうだよ、でもなまえがそんなに嬉しそうにマルフォイの事話してたら妬いちゃった」
「…よくわかんないよ…」
「見てたら自分の気持ちに気付いちゃった、けど大丈夫、なまえのことは忘れるよ」
いつものようににっこりと笑顔を浮かべた。なまえにおやすみ、と言って腰を上げた。シリウスになんて報告すれば良いんだ、怒られる、よなぁ。
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