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「なぁルシウス、確か前からよくからかってたよな?あの猫耳の…」
「あぁ、それがどうかしたのか?」
「『今』、とってもモテるらしいな」
「…どういう事だ」
「猫とやってみたい男に」

話を聞き終えると同時に思わずはぁ、と溜息をひとつついて、談話室を出て階段を登った。グリフィンドールの談話室がどこにあるかは知らないが、スリザリンのものよりは当然上階にあるはずだ。すぐに見つかれば良いがと思いながら広間のまえを通ると運良く彼女が目に入る。

「なまえ…」

声を掛けて気付く、どこぞの青いネクタイの男と会話中らしいがなまえとあいつになんの接点も見出せなかった私は臆す事もなく近寄った。

「ごめんなさい、無理ですー」
「そうだな、身を弁えろ。そしてお前の仲間にも同じ事を伝えておけ」
「え…ルシウス先輩…」

彼女の肩を抱いてぐいと引き寄せながらそう言うと、舌打ちをしながら男は消えた。同じ学年の筈だが名前も思い出せないような価値のない男だ、そこまでの影響力があるかはわからないが威嚇するに越した事はないだろう。

「大丈夫だったか?」
「ありがとうございます、今日五回目でもう参ってました」
「そうか、ではわたしが六人目に」
「…そんな冗談はおいといて、なんでそんなに近いんですか」

彼女の気に入っているところはスリザリン生にはない素直な反応、とその割に物怖じせずに私と話すその態度。特にスタイルが良い訳でも特別人目を引くわけでもないが、反応が可愛いのでついつい構いたくなってしまうのだ。今もこうして顔を近くで覗き込めば言葉とは裏腹に赤い頬で目を背ける。上の耳は…ぴくぴくと小刻みに動きながらピンと立っていてやけにそそられる。

「心配するな、なんとかしてやろう」
「ルシウス先輩なら出来そうですね、それはどうもありがとうございます」
「お礼は何でしてくれるんだ?」
「…私に出来る事があれば…。なさそうですけど」
「では首輪をつけてもらおうか」
「嫌ですよ、それ以外で」

きっぱりと断る彼女がやっぱり面白くて、小さく笑ってみせると驚かれた。私を嫌いだと言う癖に、なまえの心臓の音がここまで聞こえてきそうで、それを単純に愛しいとすら思った。




あきゅろす。
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