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ルシフェルとかいう悪魔のなまえ
「あぁ今日もロドルファス先輩がかっこいいっ」
「ほう、ロドルファスが」
「う、うわぁ!!」

茂みに隠れて日課のロドルファス先輩観察をしていた私の背後で突然した声。振り返って確認するまでもなく、それはルシウス先輩のものだとわかったから振り返りたくなかったけど。そんなわけにもいかなくて。

「…こんにちは、ルシウス先輩…」
「なまえがロドルファスを、ねぇ」
「わ、わかってます、叶わないってわかってるから、もうなにも言わないでくださいー!」
「元からお前にアドバイスする気などない」

ルシウス先輩は私をふんと鼻で笑って、ロドルファス先輩を見た。ほらほらね、ルシウス先輩はいつも意地悪。私みたいな子どもには興味ないって言わんばかりのその態度。そのくせやたらと絡んできて怖いから嫌い。ロドルファス先輩がルシウス先輩に気付いてこっちを見た。なんでこの二人、仲良いかなぁ。

「ルシウス、なにしてるんだ?」
「なまえのくだらない相談に乗っていただけだ」
「…乗ってくれてすらいないですよね?」
「へぇ、俺にはしてくれないのに」
「そ、そ、それはロドルファス先輩のお手を私なんかが煩わせては!」
「はっ、しないんじゃなくて出来ないだけだろうが」
「あぁあもうルシウス先輩!やめてください!おこりますよー!」
「お前が怒ったところで何になるというんだ。立場と背の高さを考慮してから発言しろ」
「むむむ…」

私とルシウス先輩のケンカを見ていたロドルファス先輩が楽しそうに笑ってるからまだ許せるけどさ、すぐ恥かかせようとするルシウス先輩のばか!嫌い!だからロドルファス先輩を見て気持ちを中和するんだ。ルシウス先輩なんて視界のはしにもいれてあげない!

「そういえばなまえ、この間言ってた防衛術の呪文、今日の夜教えようか」
「えっ!ほんとですか!」
「…」
「あぁ、夕食後で良ければな」
「ぜんっぜん大丈夫です!むしろ合わせます!」
「ロドルファス、お前はベラの世話で忙しいだろうから私が代わりに教えてやろう」
「はーーー?!なにいってるんですかルシウス先輩?!」
「防衛術ならば私の方が得意だ、そうだろうロドルファス」
「まぁ…確かに」
「えええ嫌です!ルシウス先輩苦手です!」
「仲良くなる良い機会としよう」
「する気ないくせに…」
「では早速いまから、ロドルファス、また後でな」

ルシウス先輩は怖い笑顔を浮かべて私をぐいぐいとまた茂みの影に追いやって、反論しようとする私の口を掌で覆って私の顔を覗き込む。あぁもう、ロドルファス先輩がいっちゃう!離して!もごもご言う私を黙らせるようにルシウス先輩は意地悪く瞳を歪ませて、でもやっぱり笑顔で。

「お前がロドルファスに向ける笑顔は気に入らない。私に妬かせる鈍感なお前を狡猾なスリザリン生に教育し直す必要があるようだな」

は、はい?!ルシウス先輩が私の口から手をタイミングよく離すものだから、私の裏返った声は裏庭に響き渡りロドルファス先輩もこっちを振り返っていてもうだめだ、逃げようとする私の手首を掴んでロドルファス先輩に片手で問題ないと合図するルシウス先輩は、スリザリン以外のなにものでもなかった。

「今日の夕食後から、楽しみだな、なまえ?」
「あ、悪魔……」
「私には褒め言葉だな」




(20130720)

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