一緒に出掛けませんか!(平彩)
「あ、」
普段は執務をすることなど滅多に無いのだが、最近は忙しいらしく、拙者や馬超殿にまで執務がまわってきた。
もともとそんなに(かなり)頭の良くない拙者と、サボり魔の馬超殿に執務を任せるのに諸葛亮殿は最後まで回避したいと考えていたそうだが、それでもまわってきた執務を見る限り本当に忙しいらしい。
とにかく、拙者が終わらせた執務を確認してもらうべく諸葛亮殿の部屋まで向かっていた時、中庭に見慣れた人影を見つけた。
「星彩、」
と、劉禅殿だ。
笑いながら談笑する二人を楽しそうだと思いつつ、でもやっぱり何処かモヤモヤとするのは、拙者がきっと星彩を、
「はあ…」
「ため息など吐いて、どうしたのですか、関平殿」
と、突然掛かった声に驚いて振り返ると、そこには今から会いに行こうと思っていた人物、諸葛亮殿がいた。
「しょ、諸葛亮殿…!」
「遅いので心配になって様子を見に行こうと思ったのです」
何故ここに、と拙者が続ける前に諸葛亮殿はそう言った。
心配に、というのは拙者ではなく、この竹簡だと思われるが、そこはあまり深く追求しない事にする。取り敢えず諸葛亮殿の目がなんでため息を吐いていたか説明しろ、と言っているので拙者は渋々ながら答えた。
「その、星彩が…」
「星彩殿が?」
言葉を詰まらせた拙者に諸葛亮殿が先を急かす。
諸葛亮殿の口元は普段よりつり上がり、声色もなんだか嬉しそうで面白がっている事が良く分かった。絶対、からかわれている。
「わ、分かってやっているでしょう!」
「何を言うのですか、関平殿。私がそんな性格悪い様に見えますか?」
見える、と言いたいのをグッとこらえていると、諸葛亮殿はゆっくりと口を開いた。
「まあ、関平殿が星彩殿を好きだ、ということはよく分かりましたが」
「!」
「星彩殿が劉禅殿と仲良く話しているのでも見て、やきもちでも妬いていたのではありませんか」
本当の事だが、改めて言われると恥ずかしい。
顔が熱くなるのを感じながら拙者はそれを諸葛亮殿に見られないように下を向いた。
「ふう、仕方ありませんね。私が手伝ってあげましょう」
そう言った諸葛亮殿の顔は、本当、かなりの悪人面だった。
「星彩殿」
拙者が諸葛亮殿を止める前に、諸葛亮殿は星彩に声をかける。慌てて制止するも、星彩とばっちり目が合ってしまった。
「関平殿が用事があるみたいですよ」
「諸葛亮殿!!」
何してくれてるんですか、と言った頃には星彩はもう拙者の傍まで来ていた。
「さあ、頑張って下さいね関平殿。お礼はこれからの仕事振りで返して下さい」
「ちょ、ちょっと!」
「用って何、関平」
諸葛亮殿は竹簡だけもってさっさと戻ってしまった。
つまり、星彩と二人きり。
「い、いや…。拙者は、その…」
「用がないなら、仕事をしたいのだけど」
ここで星彩が戻ってしまったら星彩はまた劉禅殿と、
戻ろうとする星彩に、拙者は慌てて声をかけた。
一緒に出掛けませんか!
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