可愛くなってくれない?(劉尚)
遠呂智設定
遠呂智が作った世界に来てから、もう随分経った。私も最初こそお父様を人質にとられ、策兄様や権兄様と遠呂智に従っていたが、お父様を救出した今は反乱軍として戦っている。
そんな折、私は玄徳様が未だ遠呂智に囚われたままだという話を聞き、蜀軍が遠呂智と戦うために陣を敷いた古志城へと向かった。
諸葛亮の策で妲己を追い詰めた私達は古志城に向かって走り出す。
門を開ける前に遠呂智が長ったらしいことを言っていたけど覚えてない。とにかく私は玄徳様に会いたい一心で城内へと入った。
「玄徳様ー!来たわよー!」
「ちょ、痛い!尚香殿!私の足踏んでますって」
「邪魔なのよ諸葛亮!」
諸葛亮を押し退けて見事城内に一番乗りを果たした私は、遠呂智の横で刃を向けられている玄徳様を見つけた。
「あ、玄徳様…」
「はあっ!」
感動の再会も束の間、私の後から来た趙雲はいきなり玄徳様に斬りかかった。
なんだか偽者だったらしい。
偽玄徳様はキャ、と可愛らしい声を上げると倒れた。
「なんか…。偽者だけど、あの玄徳様…、可愛いかも」
私が思わず呟いた言葉に諸葛亮が目を丸くして私を見る。
そして偽玄徳様、遠呂智までもが私を見た。
「か、可愛いって…、尚香殿…」
「何よその言い方!失礼しちゃうわね」
私と諸葛亮のやり取りを呆気にとられた様子で見ていた遠呂智と偽玄徳様だったが、ハッとしたように遠呂智は武器を構えた直し、偽玄徳様は変身を解いてしまった。
「あー、あの玄徳様、可愛かったのに」
「尚香殿…」
呆れた様に言う諸葛亮を無視して私は本物の玄徳様を返してもらうため遠呂智と偽劉備の変身を解いた妲己に向かって武器を構えた。
*
「皆…、尚香殿…!」
「劉備殿、ご無事で何よりです!」
何とか二人を撃破して玄徳様を取り返した私達だったが、なんだか素直に喜べないのは、きっと
「玄徳様、可愛くない」
「え、尚香殿…?」
「ねえ玄徳様、お願い、私の為に」
可愛くなってくれない?
ノ
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