.
昔むかしあるところに王子様がいました。ある日、王子様は大輪のきれいな華を見付けてその華の虜になってしまいました。しかしその華は隣国の宝であり堂々と手を出すことはできません。すると、きれいな華を手に入れたくなった王子様は国を棄てて名無しの旅人となりました。旅人はこっそりと隣国に入りその華に近付くことができると茎より上をもぎ取って逃げていきました。隣国の兵隊によって旅人は追い掛けられます。旅人は逃げました。なんとか逃げ切った旅人は枯れていく華を見つめ、それでも幸せそうに華を抱きしめました。めでたしめでたし。
「楽しいお話しでしたわ、ガイ。その女々しいことを考えついたのが貴方ではないと私は信じていますわ」
にこりと微笑んだナタリアにガイは勿論、と返した。
「君のためにわざわざ考えたんだよナタリア。この話で君はどれほど不快な思いをしたかな」
ああやっぱり、と頭を押さえてため息をついたナタリアにガイは言葉を続けた。
「でもねナタリア、君は王子様の気持ちも分かってあげなければならいよ」
----------------
それは自国の民を一番に考える君には悲しいほど酷い王子様に聞こえただろう。
ガイって変な子(おい)
自分を大切に考えてみてよと彼は言いたかったんだと思います。
#*
無料HPエムペ!