『ガイ!ルーク、ルークはどう致しましたの』
真っ青になって、それでも王族として乱れることを知らない彼女は拳を握り絞めて歩み寄ってきた。
離れにあるルークの寝室でガイは佇んでいて、入ってきたナタリアにただ頷く。
『ラムダス様のおっしゃっていた通りですよ』
『……では、本当に』
瞳を潤ませながら肩を震わせていたナタリアに無神経にも自分はとどめを刺す。
『はい。ルーク様は、誘拐されたようです』
珍しい夢を見たものだ。
ガイはベッドから起き上がって、ため息をついた。
――過去の夢。
ルークとティアの第七音素が反応して飛ばされてしまった時のことだ。
何故今頃になってと思いながら自作の時計を眺めて時間を確認する。
起きるにはまだ早い。
ガイはまたシーツに倒れ込んで顔を枕に埋めた。
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