温度差。 彼女 「や…やだ。慧、いや」 「ヤじゃない ………ホラ、気持ちイイだろ?」 「ん…やぁ」 確かに気持ちいいんだけど、ボクはいやいやと首を振った。 だってここは慧のベッドだから。 慧、覚えてる? 「ねぇ、慧の部屋はダメなの?」 まだ知り合ったばっかの頃、ラブホを嫌がる慧に訊いた事がある。 「んー…あいついつ入って来るかわかんねぇしなぁ」 「あー、そっか」 ヤってる最中に彼女が来たら大変な事になるだろうなぁ。 「うん、めんどいのキライ。慧の部屋ですんのはやめよう」 修羅場を想像して面倒くさいと顔をしかめるボクに、「そうして」って慧は笑った。 あの日から、ボクは慧の部屋を使おうとは思わなかった。 「ヤダ、慧…や……あ…あ」 ボクは抵抗したけど、慧はやめてくれない。 強くベッドに押し付けて、ボクの動きを封じ込めた。 「いや」 いつ入って来るか解らない彼女も ボク達がしてる事が隠れてしなきゃいけない事だってコトも 全部ぜんぶ嫌だった。 「慧……」 同じベッドで同じコトをしてるのに、全然違う。 彼女さんは慧のちゃんとした恋人で、 ボクはただのセフレ。 「慧、やめよう……やめて」 慧は何も言わないでボクを抱く。 「やだよぅ…」 その日慧はずっとボクを放さなかった。 何度も何度もされて。 泣いてやめてと頼んでも、ボクの意識がなくなるまで慧はボクを抱き続けた。 [*←back][next→#] |