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温度差。
交換? 3
  

「据え膳…?」
 据え膳てなに?

 訳がわからなくて首を傾げるボクに、末宮君は『差し出されてるわけじゃないから据え膳とは違うか』と一人納得したように呟いて、それからびっくりする言葉を言った。

「―――幹也さんのせいで今夜駄目になったんで、責任とってください」
「えっ……?」

 せ、責任って……
 もしかして、ボク、先生の代わりになれって事?

「あ……の…………っ」
 狼狽えるボクに、末宮君はちょっとだけ笑って返した。
「冗談です」
 でもあわよくばとは思っているので、あまりつけ込ませるような事はしないほうがいいですよ。って末宮君が言う。

 さっき言った『つけ込む』の意味って、そういうことだったの?



「俺は多分、幹也さんが俺を好きじゃないって解ってても、抱けますから」
「!?」

 なんの躊躇いもなくそう言う末宮君に、反対にボクは真っ赤になる。

「だ………、だけ…っ………!?」



 忘れてたけど(すっごい失礼)末宮君ってボクの親衛隊員なんだよね。

 親衛隊の人がみんなボクをそういう対象として見てるわけじゃないとは思うけど、それなりにはボクを好きなわけで……

「なんなら試してみますか?」
 あれこれ考えてるボクに末宮君が言った。
「えっ!?」
「さっき交換とか言ってましたよね」
 確かに、先生は『交換』って言った。宮君がオススメとも。

『ほら、前に話したでしょ? 失恋には…って』
 ボクは前に先生が言った言葉を思い出した。

 前に先生は、失恋したボクに新しい恋でもしてみたら? って言ったんだ。

『君を好きで、大切にしてくれる人はきっといるよ』

 そう言われて、
 そんな人を好きになったら、幸せなんだろうなってボク思った。


 自分を『好き』って言ってくれる人を好きになれば―――





「…………く…んは…」
「?」

「末宮君は、ボクのこと好き、なの?」

 末宮君はボクのこと、恋愛感情の意味で『好き』なのかな。
 だから親衛隊に入ってるの?
「……」

「………………ボクと、えっちしたい?」
 末宮君は何も言わない。

 ボクは俯いてたから、末宮君が今どんな表情してるのか解らない。




 長い沈黙の後、末宮君がゆっくり息を吐き出すのが聞こえて、ボクは顔を上げた。
 末宮君は難しい顔をして、低く小さな声で言った。





「本当につけ込みますよ」

 って。

 

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