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温度差。
メール
  
 ディスプレイにはメールの受信を知らせるものと『慧』の文字。

「―――うーん……」
 どうしたものか…
 こういう事は本人同士の問題だ。他人がどうこうして良いものじゃない。

「……………………んー」
 ないけど……
「幹也ごめん」

 本当、お節介もいいところだな…

 自分に呆れながらも携帯を開く。


from:慧
sub:最後に

しつこくてごめん。
でも最後にどうしても話がしたい。
会って一つだけ言いたいことがあるんだ。

今日5時にS公園の噴水の所で待ってる。
来るまで待ってるから。


―END―




「………」
 見なければ良かったかも知れない。
 余計に悩みを増やしてしまった。
「…………はぁ」
 携帯を手にしたまま机に伏せる。
 本当にどうしたものか。

(幹也は慧さんからの連絡は一切見聞きしてない)

 だから今自分が見なかったら、このメールの内容は幹也に知られる機会はなかっただろう。

(教えるべきか。否か)

「どうしよう…」
 また今日って言うのがいきなりな。
しかも一方的。
「何で幹也、こんな男がいいんだろう……」

 ……………何だか腹立たしい。

「どしたの学人? 人の携帯握りしめて」 幹也が戻って来た。
「――ごめん。メールが…」
「メール? え、ちょっと! 人のメール勝手に見ないでよ学人のえっちー」
 幹也は慌てて携帯を奪い取る。
「慧さんから」
「…………」
 幹也の視線が携帯を包む自分の手に移る。

「―――そう」
 そのまま画面を見ずにボタンを押して閉じてしまった。
「幹――」
「あっ、見て見て学人。雪降ってきたよ雪!」
 今年は多いね。と窓の外を指してわざとらしい明るさで話を逸らす。

 聞きたくない。
 それが幹也の意志。

「あ! ボク欲しいCDあったの忘れてた。寄っていい?」
「―――うん」
 ならば言わずにいる方が幹也には良いのかも知れない。でも、

「うーっ、寒い…」
「雪降ってるくらいだから」
「寒い〜」
 早く店に入ろうと小走りになる幹也を追いながら、重く空を覆う雲を見て再び思う。


 どうしよう…


   

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