温度差。
日曜日
日曜日。
「う〜ん、やっぱピンクもよかったな〜」
シェイクを飲みながら幹也は言う。
「嫌だよ。女の子みたいじゃないか」
「えー男が着ても平気だよ」
俺達は久々に二人で出掛けた。
連れ出されたと言う方が正しいか。
俺のワードローブを見かねた幹也が『買い物に行く』と言い出したのだ。
(まぁ、気分転換になるならいいか)
あの日俺が慧さんと電話をしてから、彼からの連絡が一切来なくなったらしい。
それからの幹也の落ち込みはさらに酷くなった。
これ以上幹也の辛そうな顔を見たくないと、良かれと思ってした事がかえって幹也を傷つけてしまっただろうか。
***
『ごめん幹也』
『何が?』
てかまだ出掛けてなかったの? と幹也がどこか気まずげに聞き返す。
『余計なことしたかもしれない』
『余計なこと?』
俺は慧さんから電話があった事、もう連絡するなと言った事を話した。
幹也は俺の話すのを黙って聞いて、話し終わると『解った』とだけ言った。
『そうだね。慧から連絡が来ない方が、きっと早く忘れられるよね』
***
「…と、……学人っ」
「え? あ、すまない。なんだっけ」
「トイレ行ってくるから…」
荷物。と幹也が示すのを見て、返事を返す。
「あぁ、わかった。みてるよ」
「…………ふう」
幹也の姿が見えなくなってから溜まった息を吐き出す。
少し元気になったかな?
空元気な気もしなくはないけれど。
『チャーチャチャー』
幹也の携帯が鳴った。
(なんだか幹也のいない時の着信によく合うな)
そしてやっぱりディスプレイに目が行く…と。
「悪い癖かな―――」
「…………」
ここまで一緒だと作為的なものを感じる。
「やめたんじゃなかったのか?」
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