[携帯モード] [URL送信]

温度差。
失恋には2
  
「失礼します」
 そこには末宮君と学人がいた。

「お迎えかな?」
 先生がにこって笑う。
「寮に消毒液はあったよね? お風呂あがったら念の為もう一度消毒してね」
「あっ、はい」

「幹也、帰ろう」
 学人がボクの手を引いて保健室から連れ出す。
「う、うん」
 学人ってなんか保健室嫌いみたいなんだよね…
 一刻も早く出たい。って感じでボクを引っ張ってく。
「さようなら。気を付けて帰るんだよ」
 先生に送り出されて、ボクたちは寮に帰るために3人で並んで歩く。



「ずいぶん遅かったんだな」
 学人が心配そうに言う。

「うん。ちょっと話込んじゃって」
 心配性の学人にそう答えながら、先生に言われた最後の言葉を思い出す。

「先生って不思議な感じだよね」

「不思議?」
 学人が訳が分からないって顔をした。
「なんか不思議な力みたいなのがさ…」

 先生の言葉はまるで何かの魔法みたいにボクの心の中にゆっくり染み込んでく。


「……魔力でもあるんじゃないかと思った事はあります」
 末宮君が妙にしみじみと言うのがちょとおかしかった。



 『君を好きだって言ってくれて、大切にしてくれる人はきっといるから』
 真剣な表情だった。真剣で、必死で、そしてどこか、悲しそうだった。


『だから、』

 あれはどういう意味なんだろ。
 予言のような、呪文のような、祈りのような、不思議な言葉。





『その人を好きになって』


   

[*←back][next→#]

25/51ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!