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温度差。
忘れられない
     
 セフレって言った。

 先生と末宮君がセフレだってこと?


 ダッシュで寮に帰ったボクは、大きな音をたてて部屋のドアを閉める。

「どうした? そんなに慌てて」
 かなり息を切らしてるボクに、学人が不思議そうに首を傾げた。

「す、末…宮君が……」
「末宮?」

「………………なんでもない」
「?」
 なんとなく、言うのを躊躇った。
 例え相手が学人でも、軽々しく口にするようなことじゃない気がする。

「お風呂入る」
「? どうぞ」
 俺は出掛けるからね。と眼鏡を机に置いた学人が言う。

「今夜は帰って来ない?」
 学人はホントはコンタクト派なんだ。
 でも目立つから(笑っちゃうくらい本人に自覚ないけど、こっそり信者がいる程には美形なの)普段は眼鏡を掛けて地味にしてる。

 その眼鏡を置いてくってことは今から恋人の家に行くんだろう。

「…あちら次第。帰って来た方が良い?」
「ううん。別に」
 ごゆっくり。と今夜は恋人とラブラブするんだろう学人に手を振った。




 ちゃぷん

(いいなぁ幸せそうで)
 湯船に浸かりながら、幸せオーラの滲み出る学人の姿を思い出す。

 相手次第って言ってた。
 つまりあっちが乗り気なら今夜は…………

(って、なに想像してんの!)
 ザバザハと顔にお湯を掛けて想像(妄想?)を振り払う。

 さっきあんな光景を見たから思考がそっち路線に…
 一応ボクだってお年頃だし。

「そういえばここ暫くしてないなぁ」
慧と別れてからだから、一カ月ちょっと?


「……………慧のこと思い出しちゃった」

 もう一カ月も経つんだなぁ。時間が過ぎるのって速い。
 ついこの間まで、慧と一緒にいた気がするのに。

 ほんのちょっと前まで、さっきの末宮君たちみたいに触れ合ってた気がするのに。



「………っ!」
 はっとして顔を上げる。
 自分で自分にびっくりした。

「――何やってんのボク」

     

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