お題部屋 可愛いらしいと思ったら2 見えた帽子屋の屋敷前には、どう見ても死体が転がっていて回れ右をした。 「あれ、お姉さんだ。」 「本当だ、お姉さん遊びに来てくれたの?」 スタスタ屋敷から離れ様と歩き出すも、会いに行く予定の双子が後ろから「てか、血糊つけた斧持って抱きつかないでーっ」 両脇から腕が腕や腰に絡み、普段なら我慢出来る斧も血糊と後ろの死体を見た後では情けない声も出ようと言うモノだ。 「遊びに来てくれたんだよね?」 「勿論、僕らに会いに来てくれたんでしょう?」 …間違いは無いが、違うと言いたい。 血が滴る斧が傍にあり、冷や汗が出る。 無邪気に聞かれ、がっちりしがみつかれ躊躇いがちに頷いた。 「会いに来た…んだけど、取り込み中みたいだし帰ろうと…」 「えー取り込んで無いよ。もう終わったし」 「直ぐに片づいちゃったんだ。お姉さんが、もう少し早かったら僕らが敵を倒す所を、見せてあげれたのに」 残念。と双子が可愛いらしく言って来る姿に、血糊と斧さえついて無ければ、間違いなく絆されてる筈。 「見せなくて良いから。見せなくて…」 勘弁して、と何もしてないのに疲れ切った口調になり、改めて二人を見つめる。 可愛いより、凛々しい感じの幼さの残る顔立ち。 目が合うと、邪気無く笑顔を向けられ、つい笑い返してしまう。 遊園地では余り殺し合いを見たりしないから、忘れがちになるのだ。 ここは私の世界では無く、二人の可愛いだけの男の子じゃない事に。 そう、猫の子に見えるけど虎の子。 可愛いらしい、弟が二人も出来た気がしていたが、一つため息ついて、頭の中に改めて叩き込んだ。 彼等も危険だと。 end [前へ][次へ] [戻る] |