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ハトアリ.クロアリ小話
ベクトル3
一緒になって、地面に座り込む。
ぐりぐりと頭を寄せられて、匂いつけされてる気分。
可笑しくなって帽子の上から、二人の頭をポンポンと撫で叩く。
「一体、何でゴーランドを目の敵にするの?」
ボリスには、さして敵対してなかった。
友達なのを差し引いても、ゴーランドへは異常な敵対心だ。
「……音痴の癖に、お姉さんに好かれてるから…」
「何か、メリーは…お姉さんにとって
僕等と違う感じがする…好きな奴っぽい…」
抱きつかれたまま、不満そうに言われた言葉
「…確かに、ゴーランドは好きなんだけど…
お父さんみたいと言うか…」
恋愛対象では、無いのだ。
ゴーランドには迷惑かもだけど。
しかし…お父さんみたいで好き。
改めて口に出せば、子供っぽい事この上無い。
「…お父さんみたいな人がタイプって事?」
「みたいな、じゃ無くて。みたいで、好きなのよ…タイプとは別」
「好きは、好きだよね?メリーさんが好きって事?」
何と言えば、良いのか…
双子にとって好きは10か0しか無いんだろうか。
「お父さんが、好きなら僕、お父さんになってあげるよ」
「僕も、お兄さんでも弟でも…お母さんでも」
「待て待て、待ちなさい。
何で急に私が近親相姦者なのよ」
双子の台詞に慌てて止める。
「…それに、どう見たってディーとダムは弟が良いトコよ…」
母やら父やら…
無理だろう。
それに、こんな両親は嫌だし。
「だって僕等、お姉さんが、好きなんだよ。」
「だから他の誰より僕等を好きになって」
痛い位に抱きしめられる。
こんな状態にも関わらず、何だか嬉しくなってる私は…
最近ヤバい気がする…
好きと言われ。
抱きしめられ。
双子じゃなければ、グーで殴ってるが。
「お父さんや、お母さんと恋なんかしないわ」
小憎らしかったり、小賢しい位に頭が回り
口も達者な双子。
「どこでも、いつでもディーとダムが一番よ」
一番好き。
本当に。
好き好き言われ、大好きと愛してると言われ。
けど二人を最初に目で捜すのは…
多分私の方。
何だか悔しいから、言わないけれど。
「お姉さん大好き」
「僕も、愛してる」
返事の代わりに二人の頬へキスをする。
「二人は、私の恋人なんだから…
そんな心配しないで大丈夫」
それに、と付け足す。
「こんな手の掛かる恋人いるのに…
他と付き合う気も、余裕も無いから」
10か0。
そんな風には、成れないけど。
10まで好きなのは、二人だけ。
キスをして、キスされて。
好きと言われ。
甘ったるい一瞬の幸福感に包まれ。
抱きしめて来る二人に、瞼伏せた。




end
リクエストは…焼きもちやく双子。
リク有り難うございました。

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