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ハトアリ.クロアリ小話
ベクトル2
普段より冷たい声。
瞬いて二人を見つめれば、抱きつかれたまま
ゴーランドから離される。
「ちょっ…二人共っ」
「お姉さんは、僕等のだよっ」
「あんたなんか大嫌いだっ」
ゴーランドが不思議そうな顔をしてる。
ボリスは楽しそうだ。
「ご、ごめんね。また来るから二人共」
剥がそうと、押したりしてた手を使い
双子の手を握り、ボリスとゴーランドに慌てて声を掛ける。
「何だ、帰っちゃうの?面白そうなのに」
「あ、ああ…気をつけてな」
「僕等と帰るんだから、大丈夫に決まってる」
「あんたと居る方が、危険だよ」
この音痴。と双子が険のある口調で叫ぶ
「何だとっガキ共!」
「ごっごめんねっゴーランド」
二人の手を引いてダッシュする。
ゴーランドから離れてるからか
遊園地から出たからか…

二人が大人しくついて来る。
「…どうしたのよ二人共」
はふ、と息を吐き。
交互に見れば、拗ねた様な顔のまま顔を背ける。

「…遊園地に戻ろうかし…」
手を離し、踵を返せば二人に腕に抱きつかれる
「待って待って。お姉さん」
「ヒドいや。僕等を捨てるのっ?」
待て。
「何よ、捨てるって…別に捨てたりしないわよ?」
人聞きの悪い。
歩を止めて二人を見つめる。
何だか、必死に抱きつかれ困惑する。
「捨てないし…置いてかないわよ?
さっきは、二人が仕事だったから一人で来たけど…」
言い訳の様に二人を見つめ話しかけてしまう。
多分、私は悪くない……と思う。
ただ…意識して無い言葉で傷つけてしまう事も
間違い無くあるだろう…
それに関しては、自信が無い。
黙ったまま二人を見つめる。
「…お姉さんが、メリーさんが好きでも。
行かせないよ」
「僕等の方が、お姉さんの事が大好きなんだからね」
絶対、間違い無く。
きつく回る腕に不似合いな不安そうな言い方。
「…ゴーランドの事は、好き。」
ビク、と双子が肩を跳ねさせる。
「殺すっ今すぐ殺して来る」
「直ぐ、済むから待ってて。お姉さん」
ビリビリと殺気をまき散らし、離れ様とする双子の手を掴む
「でも、ディーとダムの方がもっと好きよ」
ぎゅ、と手を握る。
二人の歩みが止まるのをジッと見つめれば
普段、小憎らしかったり可愛いかったりする二人が
随分と幼く見えてしまう。
「二人が一番好き」
本当よ。
と笑いかけた途端、一気に抱きつかれた。
「僕もっ僕も大好きっ」
「僕も、愛してる。お姉さん」
余りの勢いで、尻餅までついてしまう。

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あきゅろす。
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