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ハトアリ.クロアリ小話
ベクトル1(恋愛後)
エリオットが、お母さん。なら
地味にゴーランドは、私の中でお父さん。
父、では無い。
私の父は、悪い人では無いが仕事人で無口。
子育ては母に任せる人だった。
楽器オンチと言うか…音楽オンチなのを除けば
概ねゴーランドは懐が広い優しい人だ。
言うまで聞かない。
聞けば、押しつけがましくない返事が来る。
それでいて、他人事の様には感じない。
才能かと思う。
表面だけは、適当に合わせれる私と大分違う。
だから、遊園地に足を運ぶ機会が多い。
今日も、特に予定は無かったが
気づけば足は遊園地に向かっていた。
「ようアリス、遊ぼうぜ?」
ボリスに声かけられ足を止める。
「良いけど…ゴーランドは?」
「おっさん?今日は見てないけど…
アリス…老け専?」
「違うわよ……そっか、ボリスと遊んでれば、会えるかな」
絶対会いたい。
とかじゃないけど…
何となく来れば顔を見ておきたい。
どうしよう、と思うも仕事中とかなら邪魔するのは悪い。
楽器演奏中なら、更に邪魔せず。
ひたすら、遠くで終わるのを待ちたい。
「遊ぼうか、余り怖いのは遠慮したいけど」
私の台詞にボリスが機嫌良く笑う。
「スリルが良いのに…
まぁ、いいや。何に乗る…?」

ボリスに促されて歩き出す。
「あ、いたいた。お姉さん」
「探したよ」
聞き慣れた声。
振り向けば、双子が斧と一緒に抱きついて来た
「ぎゃっ…ちょっ離れっ離れて」
「えー、ひどいや。お姉さん」
「散々探したんだよ。僕ら」
「……お前ら、仕事は?」
「「お休み」」
「嘘つくんじゃ無いわよっ二人共」
ボリスの呆れた問いに、即答する双子に勢い良く返す。
「休みだもん」
「「ねー」」
二人揃って小首傾げる。
可愛いくて腹が立つ。
わざとやってるのだ。
私が、それに弱いのを知って。
「お前らも、一緒に遊ぶの?
オレ、アリスと二人きりが良いんだけど」
ボリスの台詞に双子が舌を出す
「そんなの許すワケ無いだろ」
「お姉さんは、僕等と遊ぶんだよ」
言ってません、そんな事。
と思いつつ、双子を剥がそうと努力する。
「これじゃ、歩けないからっ。はなれてー」
「何してるんだ?お前等…遊園地の、ど真ん中で…」
「あ、おっさん」
「ゴーランド…こんにちは」
不思議そうなゴーランドの台詞に目を遣る。
何となく和み気味に挨拶するも
双子からの抱きつく力が強くなる。
「ちょ…二人共…痛いっ」
眉が下がり、情けない声が出る。
「僕等が、お姉さんと遊ぶんだ」
「音痴に用は無いよっ」

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あきゅろす。
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