[携帯モード] [URL送信]

ハトアリ.クロアリ小話
お見舞い1(恋愛後)
「あんたまで、風邪ひいたら大変だからな」
調子良くなるまで、見舞い禁止。
おかんエリオットに言われた…台詞。
相手の調子が良くなったら、見舞いにならないだろう。
廊下を歩きつつ、心の中で突っ込む。
手には、料理長につきっきりで教わった
プリンの入った箱。
エリオットとブラッドに見つからない様に。
風邪をひいて、寝込んだ双子の部屋へ向かう。

「…み、見張りまで立ててる…」

うんざり気味に呟き。
双子の部屋の前、困った顔で私を見るメイドさんに、頼み込む。
「…お嬢様に〜風邪がウツると大変ですよ〜」
「ウツらないから。大丈夫、お願い」
全く根拠は無い自信で、言い切り。
両手を合わせる。
諦めた様に、早く済ませて下さいね〜。
とドアを開けてくれた。
「有り難う。…ディー、ダム…寝てる?」
メイドさんに、お礼を言い。
カーテンが閉められた、薄暗い部屋へと入り。
小声でベッドに声をかけ歩き出す。
「……お姉さん?」
「僕等、まだ風邪治ってないよ…?」
掠れた声、起きあがる二人の気配に慌てて近寄る。
「寝てて、寝てて。
お見舞いに来たの。」
大丈夫?
と、二つ並ぶベッドの間に立ち。
身体を起こした二人に目を遣り。
とりあえず、目に入ったダムに顔を近づけ。
額同士を、こつり。と充てる
「…まだ、少し熱いかしらね…」
「ずるいーお姉さん…僕もー」
「し、してあげるからっ
ベッドから落ちてるわよっ?ディー」
額に感じる熱に呟くも。スカート引かれる感じに目を遣れば。
ディーが私のスカート掴み、ずりずりベッドから落ちかけてる。
「…だるいー」
「ダルいなら、大人しくベッドで寝ててよ…」
手を貸し、ディーをベッドへと戻す。
ダムにした様に額を充てる。
「熱…あるわね…食欲ある?プリン作ったんだけど…」
「無くても、食べるよー」
「お姉さんの、プリンー」
「「お姉さん…あーん」」
「待て待て、待ちなさい。
同時に口を開けないで」
いくら何でも、二人いっぺんには難しい。
二人を見遣り僅かに間を置く。
両手にスプーンを持ち、二人の口へ…
どう頑張っても、利き手じゃ無い方は落としてしまうやも。
病人を動かし、片方に食べさせてる時は
片方を膝枕して我慢して貰う。
「わーい。…お姉さんだ」
「あーん」
ダム膝枕に頭をすり寄られつつ、口開けたディーへプリンを差し出す。
「……どう?」
躊躇いがちに聞く。
「美味しいよ。さつまいも味」
「…かぼちゃよ…舌、バカになってるのね…」
誉め様としてくれる気持ちだけ、貰っておくわ
と、苦笑しプリンを口に運ぶ。
「ご、ごめんね。お姉さん。
でも美味しいよ。硬く無いし苦くないし」
謝られれば、過去に食べさせた酷さが
窺えてしまう台詞に申し訳なくなる。
「元気になったら、作るから。
また、食べて感想教えて?」
笑いかければ、頷き笑み返して来る。
膝に頭を乗せ、うとうとしてるダムの姿。
二人共、大人し過ぎて調子が悪いのが見て分かる。
「今度、雨が降ったら、
傘を差して遊びに行きましょう。二人共」
先日、珍しく降った雨
傘を差さなかった結果、
二人は風邪をひいたのだ。
「お姉さんが、風邪ひかないのは良かったけど…」
「僕等より…お姉さんの方が丈夫って事…?」
唸りながら言う二人に苦笑する。
「雨…私の住んでいた所では、珍しく無いから」
慣れてるとは、言わないが。
不意の雨に当たるのは、珍しくない。
気づけば、いつもの様に真ん中に私。
両側に二人が寝てる図になって、会話をしてる
ちょっと違うのは。
いつも、ぎゅーぎゅーくっついて来る二人が。
淋しい時の猫みたいに
手だけ私の服握り、大人しく寝てる事。
二人の額に濡れタオル乗せてやる。

[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!