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ハトアリ.クロアリ小話
花占い2
「小さい頃は、花冠とか恋占いとか…
した気もするけど」
手の中の花を見ながら、思い出す顔をすれば。
双子が不思議そうな顔をした。
「「恋占い?」」
「そう、まぁ…遊びね。
花びらを一枚ずつ取っていくの…
相手が、私の事を…
好きか、嫌いか、好きかって…」
一枚の花びらを摘み、取る仕草をして見せる。
「好き、からなの?
じゃあ、奇数枚数の花にすれば好きで終わるよ」
「嫌い、からなら偶数だね…それ何枚ある花?」
二人が花びらを、真面目な顔で見つめて来る。
「小さい頃の、遊びね」
懐かしい。
母や姉と、した記憶がある。
「今なら、誰を対象にするの?お姉さん」
「勿論、僕等だよね?」
にこにこと。
圧迫感を感じる笑顔で、二人が詰め寄って来る。
「あー…そう、かしら?」
「「そうだよ」」
躊躇いがちの返事に即答された。
「でも、僕等はお姉さん大好きだから。」
「その花びらは何枚取っても、大好きしか無いよ」
だって嫌いが無いし。
笑みと共に言われ、また顔が赤くなる。
「…た、タラシ…」
さっきより赤い気がする。
「タラシなんかじゃないよ」
「お姉さんにしか言わないし」
ねー。と双子が、顔を見合わせて同じ仕草で言う。
可愛いし。
「…………じゃあ、私が二人を好きか。
で占う」
何かもう、勝負事じゃないけど。
ヤられっ放しで悔しくて返すと。
二人は、花を見つめて楽しそうに笑った。
「いいよ」
「嫌い、が出ても。
お姉さん僕等の事、嫌いじゃないよね?」
何処か甘え滲んだ口調で、顔を覗き込まれ。
ついでに、抱きつかれてしまえば。
文句も反論も出来なくなって、下を向いた。

お願いだから。
ちゃんと返事をするから。
もう少しだけ悩ませて。
きっと断る事なんか無い。
だけど、受けるのも怖い。
甘く切ない痛みに手の中の花を握り締めた。



end

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