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ハトアリ.クロアリ小話
ジョーカー:小さいお姉さんと僕ら
「ただいまー」
パタパタと小さな足音
門の前で待っていた僕等は、急いで小さいお姉さんの所へ走る
「お帰り、お姉さん」
「良かった、帰って来てくれて」
抱き上げて他の領地に、ずっと居なかった事に安心する
「う?お家、ここだもの」
不思議そうなまま、ただいまのチュー。
と、頬にキスを受け
僕等も、ふくふくした頬にキスを返す。
「んと、おみやげ」
小さな鞄からは、春の花の花びら
「有り難う。お姉さん
春が、気に入った?」
「これ、お風呂浮かべようか」
パステル色花びら
僕等からの言葉に小さく首を傾げてから、ふるり左右に頭を揺らす
「おしろにも、ゆうえんちにも、とうにも
次は、さんにんで行こうね」
お花見もプールも雪祭りも。
僕等と過ごしたいと言ってくれる、お姉さんに嬉しくなる
「ちゃんとジョカとゲェムしてくるから」
「え?いいよ
あんな奴の所なんか行かなくて」
「行かなくても僕等、三人で違う所に行けるよ」
「だめ、やくそくしたから」
……いや、絶対に間違いなくジョーカーは絡んで来る気がしてたんだケド
失敗した
こんな早くに接触して来ると思ってなかった。
「ゲェムかって、三人であそびに行こうね」
何処にも行かなくて良いのに。
お姉さんさえ側に居てくれさえすれば。
ニコニコと無邪気に
優しくも酷い
小さな、お姉さん

「はるも、なつも、ふゆも…
ディとダムとなら、もっとたのしいよ」
ニコニコと。
「ジョーカーの所にも?」
「う?」
僕等の問いに、思い出す様な顔をして首を傾げる。
「うん。一人で、おいで。って言われなかったから…
三人で、いく?」
「一緒に行く!」
「ジョーカーの所に行く時は、僕等も一緒だよ」
勢いつけた僕等の返事に、お姉さんが小さい手を延ばし
帽子越しに撫でてくる

「ちゃんと、お家にかえてくるよ」
大きい、お姉さんにも何度となく言われた
小さなお姉さんにも、何度も言われてる。
だけど、こんな小さくなっちゃって
更に弱く直ぐ死んじゃいそうなのに。
一人出かける度に、もの凄く不安になる。

どんな場所に引っ越しても
どんな奴と会っても
お姉さんは、僕等が絶対絶対守るから。
柔らかい頬に左右から、僕等は鼻先を寄せる
甘い、香り。
お姉さんが大好きって、抱きしめたまま言えば

小さな音を立てキスを鼻先に受けた
大丈夫
ジョーカーにだって、何かあっても僕等は負けない。




end
201009末

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あきゅろす。
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