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ハトアリ.クロアリ小話
戦利品4
パキ
コインチョコを割り、はい。と
お姉さんが口元に差し出す
「分けっこ」
にこにこと。
にらみ合ってる僕等の気が抜ける勢いで。
「はい。エーシュにも」
「え?俺は、いいよ」
「ダメー」
差し出したチョコを迷子騎士が断るけど
笑顔のままの、お姉さんはキッパリ言い切る。
「おいしいのを、有り難う」
嬉しそうな、お姉さんに迷子騎士が笑う
「どう致しまして」
僕等が抱きしめていても、他の人へ笑いかける
イライラして悔しくて腹が立って
腕の中の、お姉さんを殺してしまいたい。
「ディとダムもね」
半分こ
はい。
笑顔でチョコを差し出され僕等は口を開ける。
「…甘い…」
「て、言うか半分は必ずお姉さん食べてたら。
虫歯になるかもよ?」
半分この言葉通り、割った半分は必ず
お姉さんが食べていて。
「かえったら、歯磨きする」
三人でしようね。
服を掴む小さな手
僕達を見つめてくる大きな目
ああ、やっぱり殺せない。
抱き上げた身体は暖かく。
ぷくぷくした頬に二人でキスをする。
「一回、お年玉置きに屋敷に寄ろうか」
「お金だし、落としたら勿体ないしね」
僕等の言葉に、着物の袖を膨らませたお姉さんが頷く。
「そういえば」
「僕等だって子供なのに…
何で、おとし玉貰えないのかな」
「……おしごと、してるから?」
歩きながら、三人で話す。
「僕等と、お姉さんの違いってソレ位だよねぇ」
いいなぁ、お姉さん

「あげる」
「「え?」」
兄弟の声が嬉しそうだっのは、気のせいじゃないハズ。
「でも兄弟、お姉さんからお金を貰うなんて
僕等ヒモみたいだよ」
「あー…そうだね
恋人じゃないかも…」
「ひも?」
分かってなさそうな、お姉さんを抱えながら
僕等は話す
「僕等が、お姉さんを養うならともかく…
ヒモじゃ恋人にもならない」
「ひも、いらないけど。…お年玉、あげる」
「…あー、お姉さん。
すっごく嬉しいケド気持ちだけ貰っておくから」
ヒモは、いらない
意味は間違ってても
まあ、どっちのヒモも要らないだろう
そんなんじゃ胸張って、ちゃんとした恋人とも言えない。
「…じゃあ、半分こ」
「多いから、貰えないんじゃなくてね…」
「?じゃあ、全部」
「…お姉さん、欲しいモノを買うとか」
「お耳」
「…ボリスや、ひよこウサギのは売って無いよ…」
「じゃあ、無い」
何て物欲の無さ
と、いうか欲しいのが耳だけって…
「ディとダムがいるし
皆、いるから欲しいの無いの」
抱きついたまま言われ
歩みを止める
皆が、居るは余計だけども
僕等が、居るから欲しいモノは無い
小さいお姉さんから、すごいすごい好きって言われた気がする
好きなんて、一言も言われてないのに。
「く、くるしぃくるしぃー」
「あ、わ、ごめんね。
お姉さん」
気づけばギューギューと抱きしめて。
腕の中で息が、できないと暴れられ。
「お姉さん大好き」
「すごい好き、愛してる」
さっきの、お姉さんからの言葉みたいに
好きって言って無いのに、好きって伝える事が上手く出来なくて
すごい、もどかしい
「…うん。ディとダム好きー」
満面の笑みを向けられ、兄弟と頬にキスをする

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