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ハトアリ.クロアリ小話
戦利品3
「え?いいの。くれないで、だいじょうぶ」
いらない。
小さく頭を左右に振る、お姉さんに
おばさんは、にっこり笑いかける。
「他の奴らのは、受け取れて。
妾のは、受け取れぬと?」
「…ぁう…」
「勿論、僕からもっ
こんなちっぽけな袋では、僕からの愛は詰め切れませんが」
小さいポチ袋が、ぱんぱんに膨らんで…
眉を下げながらも、お姉さんは礼を言い受け取る。
「では妾からも」
競う様に、膨らんだ袋
安い額じゃないのは、間違い無い。
「ありがとう…えと、ごめんね」
お金と分かれば、躊躇いと申し訳なさが有る
らしい、お姉さんが大事に袖に入れた
「お主の喜ぶ顔が見たくて渡すのだから、先ほどのキスで帳消しじゃ」
まだ払っても良い程に

おばさんからの言葉に、お姉さんは嬉しそうな顔で
再び頬にキスをする。
「だから、お姉さん。
僕等以外に、ちゅーしちゃダメだってば」
「化粧臭くなるよっ」

慌てて、お姉さんを奪い返し抱き上げる。
「やれやれ、心が狭いのう…
こんなのとは早く別れた方が良いぞ」
「心が狭くても全く問題ないしっ」
「僕等が、お姉さん離すワケ無いだろっ」
おばさんからの、言葉に威勢良く返す。
腕の中の、お姉さんは楽しそうに笑い
二人へ手を振った。
「ディとダム大好きだから、せまくても大丈夫
また、来るね」
小さい手をヒラヒラと
「また、おいで。
その時は、ゆっくりお茶にしよう」
はーい。
僕等は歩き出し城から離れて行く。

僕等の有るか分からない心を狭くさせてるのは
他なら無い、お姉さんなんだけどね…

まあ、心なんて目に見えないモノだから
どうでも良いけど。
「森と、塔にも行くのー」
抱っこされたまま、機嫌良くお姉さんが笑う
「まだ行くの?」
「ひょっとして全部、回る気?」
うん。
素直に頷かれ顔を見合わせた。
けど、行くと言うからには1人でも行っちゃいそうだし。
ここは、やっぱりついて行くのが一番良いんだろう。
「やあ、アリスと双子君達」
「げぇ」
「出た」
「あ、おめれとー。エーシュ」
抱っこされたまま、両手をパタパタし喜ぶのは
お姉さんだけで。
「ひどいなぁ、通りかかったダケなのに
おめでとうアリス」
揺らす手を笑顔で迷子騎士が近づいて
お姉さんの手を握り軽く揺らす
「はい、お年玉」
「…あぅ」
反対の手からは、ポチ袋…
こいつ、絶対絶対どっかから覗いてた…
眉を下げた、お姉さんが袋を受け取ってから
不思議そうに揺らし、カサカサ中を見る
珍しい
他の人のは、見たりしてないのに。
「チョコ」
平たいコインチョコが、お姉さんの手に落ちる
「有り難うエーシュ」
にこにこ笑う、お姉さんに迷子騎士が
更に、さわやかな笑顔を向けた
「お金よりチョコが良いなんで欲が無いなぁ
まあ、子供だからかな」「僕は、お金が良いけどね」
「僕は、休みの方が良い」
こんな奴からチョコなんて貰いたくない。
「はは、安心して良いよ。
俺だって君等に、あげる気は無い」
にこやかなまま、告げられる言葉。

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