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ハトアリ.クロアリ小話
戦利品2
「あのね、ディとダムが一番なのよ」

ちゅ
と、頬に触れられたまま僕等は口付けを受ける。

「……どこで、覚えたの。こんな技…」
「ずるいや」
何となく頬が熱くなって、口元がゆるむ。
おひめさまー
と、にこにこ返され
そりゃ僕等の肩も落ちるって話で。
「お口ちゅーは、二人とだけね」
一番だから。
付け足された言葉に、また嬉しくなって。
落ちたり上がったりジェットコースターみたいだ。
「「あ」」
ぴょん、と腕から下りた、お姉さんが走り出す
「みなに、ごあいさつして来るー」
「え?皆って」
「屋敷の奴等には、挨拶したよ」
着物とかいうのを、着てるのに
てってってーと走る、小さなお姉さん
「わ、袋、落ちてる」
袖に入れてたポチ袋が、量も増えて
走る度に、落ちていて
慌てて拾いながら、後を追う。
「……こんな話あったね」
「前、お姉さんが読んでくれた話にね」
あれは、パン屑だったし。
ついでに拾ったりは、してなかったけど
道しるべって点では、同じ。
落ちてるのが、分かって無いのか。
お姉さんは元気に走る
…屋敷の外まで
「てか、どこ行く気?お姉さん」
「ちょ、待って。お姉さん」
走りきれば、僕等の方が速いけど。
途中でポチ袋を拾うから、どうやっても遅くなるし。

どっちかが、拾って
どっちかが、お姉さんを捕まえに追えば良かった。
と思ったのは、お姉さんが目的地に着いて。
ご挨拶をしてるのを見てから。
その頃には、僕等は両手一杯にポチ袋。

「ああ、アリス。
こんな小さくなっても僕への愛は健在なんですねっ
わざわざ挨拶に来てくれるなんてっ」
余計なのが、居ますが
城の宰相が、僕等に目を遣り嫌そうに言う
「僕等には、あんたが余計だよ」
「お姉さん、潰れちゃうだろ返して」
宰相の腕に、みっちり抱えられて
お姉さんがジタバタしてる。
城の門の前
どうやら、お姉さんは僕等が来ると思って
中には、入らずに門番に呼び出しをかけたらしい。
門の前でも、兵隊が構えてるけどね。
宰相さんや、おばさんが止めている。
「妾を、呼び出す等…お主じゃなきゃ首を跳ねる所じゃぞ」
城の、おばさん
ヴィバルディが、笑顔で宰相からお姉さんを
奪う
「ああっ!僕のアリスをっ」
奪われた腹黒ウサギが、喚く中
「ことしも、よろしく。お姫さま」
にこにこ笑う、お姉さんからの頬へのキスに
おばさんは、ご機嫌だ
「…所で、お主等何じゃ。その小さい袋は」
視線を向けられ、思い出す。
「そうだ、お姉さん落としてたよ」
「ちゃんと、持ってないと」
僕等は、近づいて
着物の袖に入れていく。

一つを手に、お姉さんはおばさんに見せた
「お年玉なんだって。お正月だからって」
何だろうね
言いながら、袋を開けてのぞき込む
「…おかね…だぁ」
知らなかったらしい、お姉さん。
「ほう。せっかくじゃ妾も、お主にあげよう」
公然と、小遣いがあげれるんじゃな。
おばさんは、上機嫌だ

まあ、お姉さんは基本的に
金銀財宝付け届け賄賂
には、興味が無い
欲しい物は、自分で稼いで買うが信条で。
小さくなっても、お小遣いをあげると言っても
断られる。
欲が無さ過ぎ。

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あきゅろす。
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