[携帯モード] [URL送信]

ハトアリ.クロアリ小話
ちっちゃくなった、お姉さんとニンジン
ひよこウサギが、ニンジンが大好きなのは
皆知ってる周知の事実
一人で食べてりゃ、いいのに。
どうにも自分の好きな相手には、分け与える
分け与え様とする癖がある。
「うわ、お姉さん。
そんなの無理して食べる事ないよ」
「ぺいって、捨てて良いから」
オレンジ色のパンにオレンジ色が挟まったサンドイッチ
小さいお姉さんが、むずかしー顔してちまちま食べてる
どう見たって不味そう
「捨てて良いたあ、何だっ栄養タップリなんだぞっ
美味いだろ?アリス」
ひよこウサギが僕らを威嚇して、お姉さんに
全く違う笑みを見せる
「んー…うん…」
躊躇いながらも揺れる耳や満面の笑みに
不味いと言えなかった事は想像に難くない
「ディとダムも、食べて?」
ご機嫌で、ひよこウサギが置いて行ったニンジンサンドに
お姉さんが途方に暮れた顔で言う
「捨てちゃって良いよ」
「むしろ食べたら、バカになるよ」
食べ物は大切に
は、小さくなってもお姉さんの持論みたいだけど…
今回は適用しなくて良いと思う
「でも…もうちょっと食べる」
眉を下げながら、食べる姿に
僕等は、ため息ついてサンドイッチを手にする
「後で、どうにか仕返ししよう」
「そうだね兄弟」

「うわ、また食べてる」
「どうしたの急にニンジン好きになったの?
お姉さん」
もそもそと、小動物を思わせる仕草で
ニンジンサンドを口に運ぶ、小さいお姉さん
ニンジンじゃなきゃ、見てて和むんだけどね
「ニンジン、ふつー」
好きでも嫌いでもない。
答えながらも、サンドイッチを口にする
オレンジ色しか、見えてない…
「普通なら、無理に食べなくて良いんだよ」
「そうだよ。別のだって厨房の役無しに言えば作るよ」
両脇から挟み座り込み言えば、僕等を見て困った顔をする
「………かも、しれないし」
「「はい?」」
えりーちゃ、みたいな。
お耳生えて来るかと思って…
ぽそぽそ小さな声で言う
それ自体に根拠と自信が無いからなんだろうけど
僕等は、ぐったり両手を床につく
「お…お姉さん…」
「耳、好きだよね」
小さくなっても、やっぱりお姉さんは耳が好きらしい…
自分に生やそうとする辺りが、大きいお姉さんとは違うけど
食べて、耳が生えて来たら

僕等にもニンジンサンド食べて貰う気だったらしい…

「おそろい…したかったんだも」
ぷし、と拗ねた様な不満そうな…悲しそうな顔に

僕等は、柔らかな頬に両側からキスをする
「猫の方が可愛いと思うよ」
「そうそう、尻尾もフカフカだし」
「ボリス、みたいの?」
おさかな、食べたら生えてくる?
どーしても耳と尻尾が欲しいらしい
小さい、お姉さんに
食べなくても、生えてくるかも。
って僕等は笑いかける
とりあえず、小さくなったお姉さん用の耳と尻尾
作らなきゃね。



200911末

[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!