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ハトアリ.クロアリ小話
視線2
「見つめていてくれていたのに、気づかなかったとは悪い事をした」
呑気なブラッドに呆れた顔を向ける
「家主が通れば、挨拶位しなきゃと思うからよ」
他意も悪意も無いわ
キッパリ言う私にブラッドは楽しそうに笑う
「それは残念だ。
だが好意は持って貰えてる様で何より」
…腹立つ男だ。
「好意も、あんまり無いわよ。
家主だから最低限は、あるけど」
腹が立つまま言ってれば、いつの間にかエリオットが戻って来てた
「ブラッドは格好良いからなぁ
つい目で追っちまうよな」
機嫌良く隣で言われ、揺れるウサ耳を見てから
ブラッドに目を遣る
「部下には目一杯好意を持たれてて良かったわね」
「ニンジンを寄越さなきゃ、好意位は幾らでも受けよう」
「俺はブラッドの為なら、秘蔵のニンジン酒とか…」
いらん
…どんな秘蔵だ。
双子が戻って来たのを見て、真面目な口調で声をかける
「ディーもダムも、食事中は暴れ無いのよ?」
言っても中々聞かないが、言わねば更に聞かない為に
真面目な口調と顔で言うも、拗ねた双子は視線合わせないまま
「「ひよこウサギが悪いんだよ」」
と、大きな声で返して来た。
「何だと、チビにチビって言って何が悪いんだよっ」
…そこが論点だっただろうか…
はいはい、止めなさいね三人共。

いつもの遣り取り。
ちょっとドキッとさせられたのは
ブラッドの顔を見ている自覚があるから。
「お姉さん、一緒に寝よう?」
「もう、お仕事終わりだよね?」
片づけ済ませてれば、双子の声に振り向く。
「いいけど…急に大っきくならないでね」
心臓に悪いから。
双子と眠るのは嫌いじゃない。
こっちに来て人肌が安心するのを初めて知った
小さな瓶を入れた引き出しが余り気にならない。
どちらを見ても、二人がいて。
それは私を安心させる
「大っきい僕等、嫌い?」
「嫌いじゃないけど、ビックリするのよ…」
考えて欲しい。
小さな二人と眠っていたのに
起きたら育っているのだ…
小さい時の面影はあるが、立派に育った
男子に挟まれ眠る……
起きた時の私の驚き具合も察して欲しい。
「私、二人は一緒に寝ても良い位に好きだけど
心臓に悪い事は苦手なの」
そう。
気づけば、ココの人たちから離れ難く
私はハートの国に残り。
今はクローバーの国にいる。
ブラッドと眠るのは不穏だから遠慮したいが
ディーとダムは本気で嫌がれば、直ぐに止めてくれる
見極めが上手く、気づけば屋敷では一番仲良しになった。
好き好きと好意を寄せてくれる彼等。
私もよ。と笑顔で返せる時、ちゃんとしたお姉さん
を出来てる気分になる。

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あきゅろす。
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