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ハトアリ.クロアリ小話
君と2
大っきくなった双子
見分けがつくのは有り難いが
幼い時みたいに、抱きついて来るのは勘弁願いたい。
「久しぶり。ディー、ダム……ちっ力、強い強いっ」
私は彼等に甘い自覚がある
多少なら抱きつかれたりも許容するが
大っきい二人
二人分の青年に挟まれ圧死しそうだ
「僕等と遊ばないで、誰と遊んでたの?」
「僕等、良い子でお姉さん待ってたんだよ」
咎める視線に約束して無いが
済まない感覚になる
「…遊んでないの。塔で、ずっと仕事」
嘘では無い
休みも貰っては、いたが

殆どナイトメアと過ごし、吐血する介護とか介抱とか放置
を、してた
仕事な感じだ。
「やれやれ、無能な宿主を持つと苦労する
我が家に来たらどうだね?」
ブラッドの声に顔を向ける
相変わらず気怠そう
「無能…だとは思わないけど、やる気は欲しいわね」
もしくは、ブラッドの要領の良さが
半分でも欲しい。
「おや、お優しい事だ」

「家主で部下だしね」
「私の下に来れば、働く必要も無いが」
「働きたいの…塔から、離れる気は無いわ」
双子に抱きつかれたまま、生真面目な口調で返す。
そう
塔から離れる気は無い

それは私にはユリウスと同義語
もし
また
引っ越し等という
ふざけた事が、あった時に


に、いれば
余所者で弾かれた私は
ユリウスの所へ
戻れるかも
と思っている

いつもの様に、おやすみ と言った

目が覚めたら、いないなんて思わなかった
不器用な彼に優しくして貰った
有り難う。も
 さようなら。も
離れたく無い。とも
言わずじまいだった

「ふむ、…塔…ね」

ブラッドの声に意識が戻る
ヤバい
今みたいな事は、部屋で一人で考えねば
弱くなった私は
泣いて しまう

シャリン
聞き慣れた斧の音
視界が黒くなる
黒…にストライプ
双子の腕が目元と腰に回ってる
「「例えボスでも、お姉さんを泣かすのは許さないよ」」
強い声
見えなくても分かる
彼等はブラッドに斧を向けた
「デ、ディーっ、ダムッ。止め、止めて」
手を使い回された腕をペチペチ叩く
双子は強い
だが、多分…エリオットとブラッドは
もっと強い筈だ
上司に武器を向けて良いワケが無い
「お前等っブラッドに何してやがるッ」
エリオットの声だ
ナイトメアと話してた彼も、双子の行為に
強い声で、こちらに戻って来ている様だ
「煩い、ひよこウサギ」「邪魔」
双子が苛立った声で返す

「構うな。エリオット」

何か言いかけた、エリオットにブラッドが声を出す
両手を使い、目元の腕を力を込めて下げる
銃を出したエリオットに対し、杖を使い止めるブラッド
「エリオット、ごめんなさい
私の、せいだから。二人は悪くないの」
慌てて声を出す
二人が私を見る
ブラッドは、見て分かる程に狼狽え
エリオットは気まずそうに目を逸らし
片手を延ばすと 私の目元を拭った

指先が目尻を触れる
濡れた
感触

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あきゅろす。
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