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ハトアリ.クロアリ小話
塔での私(夢魔)
「行動的な君に、頼むのは申し訳ないんだが‥」
少し外出を控えて貰えないだろうか
グレイに言われ、不思議さに瞬く
彼は言いにくそうに、口元へ片手を触れさせる
「ナイトメア様が‥君がいないと
執務室を出て探しに行ってしまうんだ」
そして途中で体調を崩されて、連絡が来る

呆れて物も言えない
「バカ夢魔‥」
ナイトメアに言って出掛けても、彼はついて来る可能性がある
ついて来ては、仕事にならない
会合期間は、危険だから
その間だけでも
申し訳なさそうなグレイに頷いた
だって彼が悪いわけじゃない‥
むしろ、ナイトメアのせいで仕事が大変なのに
私のせいで、更に負担になるのは申し訳なさ過ぎる
「腐れ夢魔め…」
思わず呟いた言葉の悪さに苦笑してしまう。
私は、塔に居候だしナイトメアの事は決して嫌いじゃないが
たまに…ごく稀に、構われる庇護感に殴り…
いやいや
構わないで。と、言いたくなる
小さい子扱い
されてる気分だ。
「やっぱり、……あんな夢を見てるから」
余計に心配かけるのだろうか
飛び起きてしまう夢
決して、恐ろしい物が出て来る訳じゃないのに
今、思い出しても心拍数が上がるのが分かる
手を強く握る。

短めに切った爪が、手の平に痛い
痛い事実に夢では無いと安心してしまう

そっと手を開けば、爪痕が残ってた

こればっかりは、見ない様にする方法が
自分ではどうしようもない
「…まだ、馴染んでないから…」
馴染めば、夢も見ないだろうか
ナイトメアは、夢見が余り良くない私の傍にいる。
夢の頻度が高ければ、それだけ一緒だ
小さくため息を吐く
出掛けるのは、色んな意味で気晴らしになっていたんだけど…
とりあえず、腹いせにナイトメアに苦い薬飲ませよう。
心に決めて、塔の中を歩き出した。




end

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