Page:1 雨だ。 春来てすぐ雨なんて私にとって大好きで大嫌いな一時だ。 当然の如く屋上は使えまい。 ………今日は家に居るか。 暗い室内の中を動き、台所にあるヤカンを沸かしに行く。 慣れている事なので障害物は暗い中でも避けられる。 ……………まぁ、たとえ見えたとしても避けられない障害は避けられないのだが。 ガスコンロに火を点ける。 メラメラと燃える。 おっとヤカンに水を淹れるのを忘れてた、ヤカンが沸いても、水が沸かなければ意味がない。 設置し終えて、あとは待つのみ。 えーと…………………どうしよう? とりあえず、沸くまで読んでない本を読んどこう、今はゲームをしたい気分でもないし。 棚から小説を出して読み始める…。 ちなみに題名は『偽善的幸せ』古本屋で見つけて何故か惹かれた。 暫く読む………読む…………読む。 「こらっ」 ゴツンッ 「いっ!?」 痛っ!? 痛いよっ!? 何!? 何が起こったの!? 「おい」 「へ?」 後ろを見ると居るはずがない、居てはいけない『赤の他人さん』が居た。 混乱していると、赤の他人さんは、再度私の頭に鉄槌を下した。 私は痛みに悶え、目尻に涙が少し出る。 [*前へ][次へ#] [戻る] |