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「まあ、お前の言うことも一理あるけど」

「あ?」

「広く浅い付き合いってヤツ」

珍しく俺の意見を認めた保の言葉に、思わず顔を見る。疲れたのか窓枠に身を凭れさせた姿勢で、保は口を開く。

「なんでもかんでも本音言い合えるヤツなんて、一人要れば俺は十分だな。そんなに自分の全部を見せられるヤツなんていらねぇし、できねぇだろ」

「え?」

聞き返すと、鈍いなーと呟いて次の言葉を紡いだ。

「本音で話せるヤツなんてお前以外要らないってことだよ」

「な…」

告白めいたその台詞に俺は思わず閉口してしまう。

「お前はどうなの? そー思ってんのって俺だけ?」

「俺だけって…」

なんだなんだ、なんだ、この空気。何。
男同士で変だろ。なんか心臓がばくばくしてきたぞ。何を俺から聞き出したいんだ、こいつは…。何か裏があるんだろうか。
ごくりと乾ききった喉を唾で潤す。

「なぁ? お前に正直にバカだ童貞だなんていってやんの俺ぐらいしかいないだろ? ありがたく思えよ。お前に何でも言ってやれるの、俺しかいないんだって」

「…お前、それは悪口だろ…?」

「いやー? バカも童貞も本当のことだろ?」

「言っていいことと悪いことがあんだよ!!」

「そんな風にムキになるから馬鹿だってンだよ。認めてるよーなもんだぜ」

ああ、ほんとにムカつくヤツだ!!
俺の機嫌とは反比例するように、気分が良さそうに保が笑う。
今の話のどこが面白いんだ!?

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