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5組のお姫様

 次の日の昼休み。

 「もうウザいー!どっか行ってよ!」

 俺とみっちゃんが5組に向かって歩い
 ていると、当の教室から騒がしい物音
 と罵声が聞こえてきた。

 「…何だろうね?」
 「お取り込み中なのかな?」

 みっちゃんと顔を見合わせていると、
 教室から城野が飛び出してくる。

 「お、みっちゃん!桔平!遅ぇ!」

 顔を合わせた途端に罵られた。

 「お取り込み中なの?教室騒がしいみ
 たいだけど」

 息をつく城野を支えながらみっちゃん
 が首を傾げる。

 城野は癖なのか耳の裏を掻いた。

 「それがさぁ、晃に彼氏の話を聞かせ
 ろって言ったら怒っちゃって」
 「ヒカル?」
 「年上の彼氏持ちの奴だよ」

 続いて教室から顔を覗かせたのは、た
 だでさえ小さいみっちゃんより更に小
 柄な子だった。

 高校生男子としてはかなり小さい方だ
 と思う。

 「バカ城野!死ね!」

 高めの可愛い声は城野に酷い罵声を浴
 びせる。

 俺とみっちゃんは目を丸くした。

 赤茶色の髪の毛に、気の強そうな少し
 吊り気味の大きな目。

 左右の耳にピアスが見える(ちなみに
 右の耳朶は兎の)。首からはシルバー
 のリングを通したアクセサリー。

 黒の大きめのカーディガンを着ていて
 、ブレザーは着てないしネクタイもし
 ていない。

 不良と言うより洒落ていると思った。

 彼は城野と組み合っていたが、ふと俺
 たちの存在に気付くと、キョトンとし
 た顔で動きを止めた。

 「隙アリっ!」

 咄嗟に城野が小柄な体を抱きすくめる
 。

 「よーし、捕まえた。頼むから大人し
 くしろよ。もう窓は割るんじゃねえ」
 「城野!相談したい人ってみっちゃん
 だったの?!」

 彼は城野の腕の中で顔を上げて叫んだ
 。

 みっちゃんの知り合い?…じゃないよ
 なぁ。

 「えへ、初めましてっ。生でみっちゃ
 ん見るの初めてだけど、噂通りほんと
 に可愛いんだね」

 少なくとも今この状況で一番可愛い行
 動を取っているだろう人のセリフだろ
 うか。

 「え…は、初めまして…浅賀 満月で
 す。えっと…晃ちゃん?」
 「うん。よろしくねっ」

 戸惑うみっちゃんに、晃ちゃん?は飛
 びきりの笑顔で答えた。



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