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小説
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…あ、なんだか泣きたくなってきた。

そんなこと思ってる間にも目の前の男は、好きじゃないんだ、などと繰り返し呟いている。…そんなに言わなくたって!

涙で視界が歪んできて、もう耐えられないとばかりに彼から離れようとすれば、彼が離すものかとより強く抱きしめられる。

「っ、放して…」
「つなよし」

ああもうそんな甘い声で俺を呼ばないで。いまは貴方の顔を見るのが凄く怖いんです。

好きじゃないと言いながら何故、この手を離してくれないんですか。


「あいしてるんだ」
「っ!!ど、してイキナリ…」

先ほどから好きじゃないくせに愛してるんだと言われ、真意が掴めなくて混乱する。それに彼はあまり好きだとか愛してるという言葉は言わない。言葉よりも態度で示
すほうなのだ。彼が以前、こんなちっぽけな言葉では足りないんだと言っていた事を思い出す。

好きでは無いが愛してはいる、というのは、言葉の彩であると気づき、俺って愛されてるな…。などとバカップルみたいな思いを消して恭弥さんの背中に腕を回した。


「恭弥さん…?」


何かがおかしい。
ツナの超直感がそう告げていた。
もしかして。いや、確実に。





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