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縁切りの神様
もしも奇跡が存在するのならばC





「お父様がお呼びになられている様ですし‥早く行って差し上げては如何ですか??」
「!!」

妹である女にやんわり背中を押された宗貞はつれない彼女の態度を恨めしく思いつつも



「あぁ、分かったよ吉子。また後でな」

などと言って、名残惜しそうな目線を送っては渋々父親である男の元へ足を運ぶのであった―――








そうして。


言われた通りすぐさま父親である男の元へ訪ねたまでは良かったが。



「…‥‥遅いな」

お堂で座してひたすら待っていたというのに


何時まで経っても肝心の依頼人の姿が見えない事に多少の苛立ちを覚えた宗貞はハァ。と深い溜息を吐いてみせた。



そして、手首に嵌(はま)った数珠をチラリと見やってはいざ仕事に集中しようと試みるが―――



「…‥私もまだまだ修行が足りない様だな」


目を閉じる度に浮んでくる、愛らしい妹の艶やかな巫女姿。


其れに心を奪われてしまった宗貞は、己の未熟さに腹が立つと同時に妹である女に対しますます恋情を募らせていったのだ。



そして、早く彼女に逢いたい。彼女の声が聞きたい、彼女の笑顔が見たいと熱望した其の時だった。




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