縁切りの神様
二兎を追う者は一兎をも得ずD
コンコンコン
「ッ!!!!!」
律儀にも、兄である男は自分の部屋にも関わらずノックをしてみせた。
「開けるぞ、吉子」
「は、はい!!」
ビクッと身体を震わせる吉子。
イキたいのにイケない。
若い娘にとって其れは拷問にも等しい苦行だった。
「……風邪でも引いたのかい??顔が真っ赤だけど」
「あ、いえ。大丈夫です」
「そうか。ならいいが‥‥‥」
しかも目の前には愛する兄の姿が。
じわり、と下着越しから蜜が溢れるのを感じて、吉子は己をはしたないと強く恥じた。
「丁度温かいお茶を淹れて来た所だ。遠慮せず飲みなさい」
「はい、お兄様///」
妹であるとはいえ、兄である宗貞は吉子の目から見ても顔立ちがやたら整っていて好ましく感じる。
タイプであるかと問われれば良く分からないが、そこはかとない色気が兄にはあるのだ。
だから、余計に吉子は宗貞に対して性的な興奮を覚えて隠し切れなかった。
「少し濃かったかな??」
「…‥‥いえ、そんな事は」
綺麗だけれど、ゴツゴツと節のハッキリした男らしい其の手がティーカップを持つ。
其の何気ない仕草一つとっても、やたら色気があるのだ。
だから吉子は無意識に、穴が空くほど宗貞の様子を観察してしまったのだが。
「…‥よ、吉子」
「はい??」
「そんなにじっと見詰められると、恥ずかしいのだが///」
「あっ///」
其処で初めて、宗貞が思わず照れてしまう程宗貞の事を見詰めていたのだと自覚させられた吉子は顔を真っ赤にしながら
「ごめんなさい‥‥///」
と、俯いてみせた。
そんな、予想外にしゅんと落ち込んでしまった吉子に対して驚きを隠せなかった宗貞は彼女を図らずとも傷付けてしまったと勘違いし
「いや、私の方こそ詰まらない事を気にしてしまった様だ。忘れてくれ」
などと慌てて弁解してみせたのだ。
しかし
「…‥‥」
「‥‥…」
其れでも吉子がしょげたままだったので。
意を決した宗貞は
「…吉子、聞いてもいいかな??」
「は、はい。なんでしょう」
「一体何用があって私の部屋を訪ねて来たんだね??」
とうとう、自ら妹の目的を問い質した。
すると
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