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縁切りの神様
一夜の過ちD





「関係大有りだよ。だって俺と君は婚約者だろう??」
「う///」


クスクスと

優雅に笑う婚約者の前では何を言っても無駄なのだと嫌でも思い知らされる。



更に―――



「俺はこんなにも京の事を好きなのに。京は俺の事を好きじゃないのかな??」
「な、業平はんっ///」


一人暮らしである事を良い事に

業平は実に愉しげな様子で京の髪や首筋に触れて来たのだ。



だが其れは、生娘であった京の目から見ればとても手馴れた仕草の様に見えたので。



「いやや!!他の女に触れた其の手で触らんといてっ!!」
「!!!!!」


まるで汚いモノを見る様な

そんな、軽蔑に近い眼差しで業平を睨み付けた瞬間だった。




「……成る程ねぇ」
「??」


ニヤニヤと

いつも嫌味ったらしい笑みを浮かべては、年下である自分をからかってくる業平。



其の業平の表情から嫌味な笑みが消える事は殆ど無かった。



少なくとも、京の前では。

だが今はどうだろう。




「…‥京」
「な、何どすえ??」



何時に無く、真剣な彼の眼差しにドキッとさせられる。



悔しい。

こうして対峙してみると、改めて業平の顔が一般人よりも遥かに優れていて綺麗なのだと実感させられる。



こんな男にトキめきたくないのに。

こんな男に身体を触らせたくないのに。



其れなのに―――




「だったら、もう君以外の女に触れないと約束しよう」
「なっ///」
「だから君に触れてもいいかな??君の肌に触れたいんだ、京。ずっとずっと、君が好きだったんだ」
「…‥‥そ、そんなっ///」



君だけを、愛しているんだ。


そう、耳元で囁かれた瞬間

背中がゾクゾクして。




「其れでもまだ‥俺の事は信じれないかな??」
「…‥‥///」


まるで壊れ物を扱う様に優しく抱き締められて

うっとりする様な甘い美声で口説かれたら一溜まりも無かったから。




「直ぐには‥信じられまへんけど」
「!!」
「そないにゆうんやったら‥ちょっとずつ信じられる様努力するさかいに」



このままでは押し切られる。と

昔から、業平の言葉には弱かった京は危険を感じて咄嗟に口から出任せを言ってやったのだ。



勿論、本当に信じたい気持ちもあった。

でも彼女の心にあるのはいつも宗貞一人で。



宗貞を愛する気持ちと、こんな女に対してふしだらで如何にも不誠実そうな業平の言葉なんて信じたくても信じられそうにないと心密かに思っていたから。




「せやから今日は帰‥」

と、言葉を続けては


ゆっくりと業平の胸板を押し返そうと、添えた手に力を篭めてやった。



しかし―――






「嬉しいよ、京」
「あっ?!」

其の言葉が業平を喜ばせる材料になるなんて思いもしなかった京はそのままひょい。と身体を持ち上げられてしまった。


其の上



「な、業平はん?!何を‥…」

見た事も無いくらい嬉しそうに頬を緩める業平を前に、何だか嫌な予感を覚えた京はもぞもぞと彼の腕の中で身じろいでみせた。


其れでも、そんな京の様子も意に介さず業平は



「決まっているだろう??」
「あぁっ///」

さっさと寝室に彼女を連れ込むと、そのままベッドに倒れ込む様にダイブしてやったのだ。



ボスン、とマットレスが大きく揺れる。

そして咄嗟に目を瞑った京が恐る恐る目を開けてみると…



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あきゅろす。
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