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縁切りの神様
もしも奇跡が存在するのならばH





「…別に私は何もしていませんよ」
「へ??」
「私は‥背中を後押ししただけ。貴方の運命を変えたのは紛れも無く貴方自身の意思と行動力です。私により…もう一度貴方を信じてくれた奥さんにお礼を述べてあげて下さい」


どちらかというと無愛想で

特に縁切りをする際は殆ど険しい顔しかしない宗貞が酷く穏やかな様子でそう告げたので。



あぁ、此の人でもこんな仏の様に柔らかな表情が出来るのか―――

と、妙な感心を抱いた藤堂は



「其れも…そうですね」

ニカッと、実に快活な笑みを浮かべながらも同意してやったのだ。





そうして、一度は縁切りによって妻との悪縁を絶った藤堂であったが。



「ではもう二度と…同じ過ちを繰り返さないようにして下さいね」
「分かってますよ。‥あんな後悔、二度も味わいたくないですし」
「フフッ、そうですね」



彼は見事復縁を遂げたのだ。


そんな、奇跡としか言い様の無い出来事に宗貞は身体を熱くし



「神よ。此の世には‥仏の力も及ばない、人智を超えた奇跡もあるのですね」


もしかしたら


このまま一途に思い続ければやがて自分の不毛な恋も報われる日が来るかもしれない。などと淡い期待で胸を焦がすのだった。




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