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縁切りの神様
貴方を想うからこそC




「…‥実は、私には二歳年上の兄が居るのです」
「成る程」

娘はぽつりぽつりと、少しずつ己の身の上を語り出した。



「兄はとても優秀で、勉強もスポーツもそつなくこなす人でした。其の上容姿だって私とは似ても似つかない程整っていて‥幼心にコンプレックスを抱いていた事もありました」


宗貞は娘の話を黙って聞いていた。


すると、娘は急に表情を硬くしてギュッと拳を握るとこんな事を言い出したのだ。



「そんな兄を意識し始めたのは‥中学生になってからでした」
「!!」


其の、予想外の展開に彼は勿論驚いてみせたが何も言わなかった。


だから娘も構わず話しを続けた。


「優しくて格好良くて、面倒見の良い兄」
「そんな兄を‥気が付けば私は好きになっていました」
「血の繋がった、実の兄だというのにも関わらず」


其の切ない声や表情に、姉妹の居ない宗貞でさえも胸がギュウッと苦しくなる様な錯覚を覚えた。


そして、娘が涙ながらに



「ですから!!私は兄と縁を切りたいのです!!」
「コレ以上好きになる前に‥」
「此の想いがやがて爆発して片想いに耐え切れなくなる前に…」
「そうなる前に兄と完全に別れれば、忘れる事が出来るかもしれないから」
「お願いします―――」


などと言って、頭を深々下げるから。



さて。どうしたものか。

と、内心困った様に呟く宗貞だったが―――




「……分かりました」
「!!!!!」
「其処まで思い悩んでいる様でしたら‥想いごと未練を断ち切った方が貴方にとっても兄上にとっても良いでしょう。縁切り、お引き受けします」
「住職様‥‥…」


結局彼は引き受けたのだ。


叶わぬ恋に苦しむ娘を不憫に思って。

そうして、彼は其の日縁切りの儀式を施してやるのだった―――



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