縁切りの神様 切れぬ縁、其れを人は運命の糸と呼ぶA 「ならん!!」 「え…??」 「其れだけはならんぞ、宗貞!!早まるでない!!」 「で、ですが……」 「全く何を考えておるのやら。このうつけ者め、剃髪なぞ御仏がお許しになられてもこの儂が許さぬぞ!!」 いきなり祖父が物凄い形相で反対して来たので。 いやいや、何で私が怒られなきゃならないんだ?? 寧ろ今まで剃髪にしなかったのを怒られなかったのが不思議なくらいだったのに。 と、疑問に思った瞬間だった。 「そんな事をしてみよ。せっかくお主目当てで参拝しとる女子らがガッカリするじゃろうて」 「……‥」 まさか祖父までそんな俗めいた事を言うとは思っておらず、あからさまな祖父の言葉に彼も言葉を失うしか他無かった。 其れでも 「…祖父上」 「何じゃ??美坊主になりたいと申しても却下じゃぞ」 「いえ、違います」 「じゃー何じゃ??」 やはり吉子への並々ならぬ想いは自身の理性だけでは最早抑え切れそうには無かったので。 彼はこんな事を祖父である男に問うてみたのだ。 「祖父上は‥叶わぬ恋を泣く泣く諦めて涙した事がありますか??或いは、その様な悩みを抱えた参拝者に出逢った事がありますか??」 と。 すると――― [*前へ][次へ#] |