[携帯モード] [URL送信]
ニコラスの話

「もうこれくらいにしてください、お父様、」

「だめだ、だめだニコラス、もう一度だ、さあ」

そう言って白い肌に舌を這わせる、汚らしい男。
その下で甘く震えるのは私の旦那様。
絹のように柔らかな金髪の髪は汗でおでこに張り付いて、
汚らしい舌が這う陶磁のように白い肌には淫らな赤が滲む。

「ほら、お前はこれが大好きだろう?」

よく馴らされた身体は、拒んでもすぐに熱く解けてゆるやかに溺れる。
心と身体が分離する瞬間。

「嫌……、嫌です……んぁ、」

ニコラスの身体はそっと穢れに染まった。
白い、天使のような容姿をして、たやすく開く甘い身体。
蜜を含んだ四肢でそっと誘う。
甘い喘ぎ声で、碧い瞳で捕らえて離さない。

馴らされた身体と
満たされない心。

その仕草の所作に滑り込んだ艶めきが私を誘う。
彼は無意識に、誘惑している。
そして無意識に、欲している。

私の旦那様。

愛に枯渇して
快楽でそれを満たそうとする
愚かで哀れな

私の旦那様。

彼は愛の満たし方を知らない。
或いは、
人の身体を感じることでしか、満たせない。

「……ラミエル」

男の下でしなやかに、そして淫らに身体を反らせながら
喘ぎ声に隠して私の名前を呟く旦那様。

そう、私だけの。







next




あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!