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藤ノ宮学園


「職員室行って、人だかりの中心が梶原先生だから」

 どうやら、人に好かれる先生らしく、気が付くと数人に囲まれてる…らしい。



「…ところで恭夜くん?」
「え?」
 つい、と頬に両手を添えられて顔を上げさせられた。
 目線を合わせればそのまま弥生さんの手は首を滑ってワイシャツのボタンに移る。

「何か、朝から襲われました、…って格好になってるけど、このまま行く気かな?」

「は?」

 …って、オレ着崩してるだけだよな?え、何、もしかして傍から見るとそう見えんの!?

「髪乱れてるし制服乱れてるし、よっぽど不良みたいな顔してない限りココではそう取られるよ?」
「…今のオレってば優等生君だからね…」

 そうか、だらしないって言うより襲われたって、そう取られちゃうんだ…。

「ぇー…じゃあ、いじめ対象にチェンジ?」
「?…とにかく、それじゃ襲ってくれと言わんばかりだから直そうね」
 言ってる間にも着々とオレの制服は直されていく。シャツのボタンをきっちり留められて、ネクタイを結ばれて、シャツをズボンの中に入れられて…って、そこまでやってくれなくても…!
「私が恭夜くんに触りたいだけだから」
 いや、にっこり笑ってそう言われても…。

 …結局全部弥生さんに直してもらいました…。

「あぁ…成る程、いじめ対象、ね」
 ちょっと苦笑されてしまった。くそぅ。
「…これはこれで危ないかなぁ…。この制服のサイズって龍司の好みでしょう」

 わぁ。バレバレだよ龍司さん。

「か弱そうに見えるから襲いやすいとも思われるかな…。しかも恭夜くん顔整ってるからなぁ…」
 近付いて顔覗き込まれたら危ないよ、と言う弥生さん。

 意外と心配性だなぁ…。

 そう思ったのがわかったのか、溜め息を吐かれて、くい、とまた顔を両手で持ち上げられた。
「…あのね、こんなに心配なのは恭夜くんだからだよ?」
「え、…ンむ」

 …オレが何か言う前に唇を塞がれた。

 くちくちと舌が絡まって音が立つ。

 ぅわぁ、…やっぱ巧いし…っ!

「ん、ぁ、ぅ…っ、っ…んぅ…」
「ん…は…っ、ん…」

 静まり返ったロビーに忙しない息遣いと、唇を重ねる音だけが響く。




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