藤ノ宮学園
担任
作った弁当は直接教室に行く尋達に預けて、…だって重箱だぜ?あんなもん持ってウロウロできるかよ。
三人と別れた後、まだ時間に余裕もあったけどオレはそのまま早めに職員棟に向かう事にした。
取り敢えず制服に着替える。そういやブレザーは初めてだな。ずっと学ランだったから。…学校なんてあんま行ってなかったから制服もあんま着てないけどさ。…って、ちょっとデカイんですけど、龍司さん…。
…これって明らかに龍司さんの趣味だよなぁ…。
オレは結構ピッタリしたのが好きなんだけど、龍司さんはよくオレにワンサイズ大きい服を着せたがる。
ダボついた服着るとオレって背も低い方じゃないから、すんげーひ弱そうに見えて嫌なんだけど…って、もしかしてそれもあるのか?
…別にそんなに徹底しなくても良いのに…。
鏡に映った自分を見れば、暗めの優等生に更にひ弱な、がプラスされてた。
………。
い、いぢめられそうな典型…!!
慌ててきっちり着てた制服を着崩す。ブレザーを全開にしてネクタイを緩めて、ワイシャツも第二ボタンまで外して裾はズボンの外に出す。オレの制服標準着用型。っても、ホントは上着なしでワイシャツ全開の、下はTシャツってのが多いんだけど。……。
ミ ス マ ッ チ … !
…ぁあ、もうどうでもよくなってきた。いいよもうどうせオレ授業とかサボる気満々だし。何と思われようが気にしないどこう。
そんな訳でいじめ対象よりミスマッチを取ったオレは、何も入っていない指定カバンとカードキーを引っ掴んで部屋を出た。
まだ早いせいか誰一人居ないしん、と静まり返ったロビーを抜けて出口に向かう。…と、管理人室の扉が開いて弥生さんが顔を出した。
「やっぱり、恭夜くんだった。お早よう、早いね?」
「おはよー弥生さん。ほら、オレ転入生だから担任の先生に挨拶しなきゃじゃん」
頭を撫でられながら朝の挨拶を交わす。
「担任…って確かA組は梶原先生だったかな」
「梶原先生?…そういやオレ担任の名前も聞いてなかったよ…」
龍司さんそれくらい教えといてくれよ。聞かなかったオレもオレだけどさ。
「はは。梶原 真(カジワラ マコト)先生。多分、すぐわかると思ったから龍司も言い忘れてたんだと思うけど」
「何、そんなに分かりやすいん?」
「まぁ、ある意味見付け易い人だからね」
「は?」
どゆこと?
←→
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!