「えと、白石先輩ですよね?」 「!!なんで亜由が部長のこと知っとんねん!」 いや、むしろなんで俺より財前の方が驚いとんねん。あ、謙也も目ぇ見開いとるわ。 「だって有名だもん。テニス部のかっこいい部長って」 「何言っとんねん!そんなことに惑わされちゃアカンで亜由!!」 「そうやで、白石は顔だけや!」 お前らちょっとは遠慮ってモンを学んでこいや。青筋を立ててそう言いそうになるがなんとか堪える。 「噂だから特に信じてなかったけどほんとにかっこよかったんですね!」 ニコニコと笑う彼女はなんの邪気もない。女の子のそんな笑顔久しぶりに見たわ。そんなこともあってか彼女を余分に可愛く感じる。 「そんなこと言ったらアカン!特に白石には!」 「まだ遅ない、取り消すんや亜由」 「だってほんとにかっこいいじゃん白石先輩」 アカンアカン、と首を降り続ける謙也や財前を気にしないこの子に何かすごいものを感じる。大物になるで。 「なんかね、お兄ちゃんって感じ!」 あ、なんやこれ… 「萌えっちゅーやつか?」 ぽろりと零すと謙也と財前にすごい目で見られた。 「アカン!部長に近づいちゃアカンで亜由!変態が伝染る!」 「ほら、いい子やからこっち来るんや!」 必死で言う謙也と財前なんか目には入らない。っちゅーか遠慮を知れ遠慮を。 「亜由ちゃんいうたか?」 「はい、野々宮亜由です」 「何素直に名前言っとんねんアホ!」 こっちに来て亜由ちゃんをどつきながら引っ張っていく財前に内心ほくそ笑む。 同じ土俵に上がらせてもらうで。 「これからよろしゅうな、亜由ちゃん」 [*前へ][次へ#] [戻る] |