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謙也くんと!





「なんでついて来はるんですか」


舌打ちしそうな勢いの財前に苦笑する。
たしかにこいつはいつも可愛くない後輩やけど今日は輪をかいて酷い。一体なんやねん。


「いつも一緒に帰っても何も言わへんやん。あ、もしかして彼女か!?彼女いたのか財前!!」

「………そんなんちゃいますわ」


変な間を開けた財前にニヤッと笑う。正解や。


「ひかちゃん!」

「…間が悪いわ」


不意に聞こえた声に顔を上げると財前がぽつりと零した。
その声の主を探すとそこにはニコニコと可愛らしい笑顔を顔中で作っている女の子。
ちょっと小柄なその子は財前に駆け寄って来る。
いや、なんか変や。


「ま、待てや!おかしいやろ、こんなふわふわした子が財前の彼女なんて!」


そうや、ぜっんぜん似合いへんのや、こんな太陽みたいなあったかそうな子と(この表現がぴったりや!)財前なんて。


「うるさいっスわ謙也先輩」

「だめだよひかちゃん、先輩にそんなこと言っちゃ!ごめんなさい言いなさい!」

「嫌や」


嫌や、て。嫌やってなんや。財前ってこんなキャラやったか?
…にしてもすごいなこの子。財前にこんなこと言えんの白石ぐらいや思ってたわ。さすが彼女。


「亜由、帰るで」

「先輩は?」

「そないな人に先輩なんて言わなくてええわ」


女の子と目がぱっちりと合うと女の子は申し訳なさそうに眉を垂れ下げた。そんな顔せえへんでもええのに。毎日言われてるっちゅー話や。





 

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あきゅろす。
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