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アジト潜入





「ぷっぷぷ……クッ、可愛すぎる…ブフッ!!」
「まずはお前から斬ってやろうか!!」

爆笑している私の隣には牛頭と馬頭。場所は四国八十八鬼夜行のアジトの真ん前。二人は、密偵として来たらしい。…密偵なのにそれを私に言っていいのか。
そして、爆笑しているのは二人が狸のコスプレみたいなのをしているからだ。牛鬼様に言われたからだって言われたけど……もう牛鬼さんがわからん。馬頭は言ったとおり可愛いけど…牛頭はもう笑いを取ろうとしてるとしか思えん。

「美湖はなんでここに来たの?危ないのに」
「ははは、ここの頭ぶんなぐろうと思ってねー。あ、あと私は別に弱くないから心配しなくていいよ」
「誰がお前の心配なんかすんだよ」
「うっさい黙れ」

ほんと、馬頭は可愛いのに牛頭は腹立たせる以外のことは何もしないな。牛鬼さん、あんた育て方間違えたね!

「でも、変装も何もしてないじゃん?」
「へーきへーき、多分私顔パスならぬ名前パスだから」
「はァ!?お前まさかこっちと繋がってんじゃ、」
「バカ言うな。だーれが好き好んでこんな田舎者の集まりに入るのさ」
「沢山いんじゃねーか」
「……そうだね」

周りを見てため息をつく。ほんと、たくさんいるわ。弱小妖怪どもがウジャウジャと、ね。なんていうんだこれ、井の中の蛙?

「これから私がやること見ても声とか上げないでね。上げたとしても周りに合わせて」
「何言ってんだお前」
「とにかく、私とあんたらは他人。任務遂行したいんなら突き通しなよ。それと、私がここにいるだなんて誰にも言わないように」

ほんと、ここにこの二人が来てるなんて予想外。一人で全部終わらせようと思ったのに。そこまでリクオはできない子じゃない、か。

「じゃーね」

ひらひらと二人に手を振って前に進む。二人とも、うまくいくといいけど。まあ私が終わらせれば関係ないか。
二人と離れたのを確認して口を開く、が。

「テメェ人間か!?」
「あー、よくわかりましたね。ただの馬鹿じゃないんだ」
「こンの、カス人間がぁぁあ!!」
「爆」

沸点低ううう!!つーかカスはお前だろ!と思いながら札を出して人差し指と中指を立て、そう言えばその妖怪は吹っ飛ぶ。

「なんだこの人間!?」
「術者か!?」
「陰陽師だ!!」

やっぱり騒ぎになりますよねー。ちら、と見えた牛頭と馬頭の表情は、驚きに満ち溢れていて。ああ、そういえば二人は知らなかったんだっけ。
そんなことを悠々と考えていれば次々に妖怪共が襲い掛かってきて。スゥ、と空気を吸う。

「私の名は花開院美湖!!」

うおー、こんなでっかい声だしたのは中学ん時の体育祭以来だ!こんだけでもう喉ヒリヒリする!

「私の首欲しい奴はかかってこい!!」

さあ、どう出るよ狸野郎。





 


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